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2022.06.27更新

ネットとグロスの違い|ビジネスにおける使い方や計算方法を解説

マーケティング業界の営業用語に「ネット」と「グロス」という言葉があります。

商取引の場ではよく使われる言葉ですが「あまりにも普通に出てくるので、今さら言葉の意味を聞きにくい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

ネットとグロスは、同じ場面で使われる言葉ですが、意味は大きく異なります。

わからないままで話を進めてしまうと大きなトラブルにつながりかねないため、両者の違いをしっかりと把握しておくことが重要です。

本記事では、 ネットとグロスの意味や違い、それぞれの使い方について解説します 

記事を読むことで、正しく「ネット」と「グロス」の意味を理解し、適切にクライアントと商談を進められるので、ぜひ参考にしてください。

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ネットとは

ネットとは「純量」「正味」という意味を持つ言葉で、 マーケティング業界においては手数料を除いた原価のこと です。

例えば、広告を売り出す際の金額が1,000円で、その内300円が手数料であった場合、700円がネットです。

ネット価格は以下のようなシーンで活用できます。

  • サービスに適切な価格設定をするとき
  • ユーザーに価格の透明性を示すとき
  • 企業が財務分析をおこなうとき

ネットはマーケティング業界以外でも用いられることがありますが、使用する業界によって意味や使い方が変わるケースも少なくありません。

また、ネットと似たような言葉に「ネット値」というものがあります。

こちらは主に自動車業界で使用される言葉で、意味としては「つけるべき補器類をすべて装着した状態でのエンジン出力」のことです。

また「グロス値」という用語もあり、こちらは「エンジンを回すのに必要最低限のものだけをつけた際のエンジン出力」です。

基本的には、ネット値の方がグロス値よりも低くなるケースがほとんどで、低下する出力は車種にもよりますが15~20%といわれています。

グロスとは

グロスとは「全体」「総量」などの意味を持つ英語で、マーケティング業界においては、 原価に手数料や税金などを上乗せした、ユーザーが最終的に支払う金額のこと です。

例えば、以下の金額でサービスを提供するとします。

原価 600円
手数料 300円
税金 100円
1,000円
上記であれば、合計金額の1,000円がグロスです。

企業でクライアントが金額を提示する場合、グロスの料金であることが一般的です。

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ネットとグロスの違い

 ネットとグロスの違いは「手数料や税金を含む」かどうかで決まります 

どちらも含まない原価がネットで、手数料や税金を加算した合計金額がグロスです。

さまざまなビジネスシーンにおいて、2つの違いを把握しておくことは非常に重要です。

特に、商取引をおこなう際は注意が必要で、しっかりと確認しておかないと「こちらはグロス料金のつもりで伝えたら相手方はネット料金と思っていた」といった事態にもつながります。

料金に関するトラブルを防ぐためにも、ネット・グロスどちらか明確でない場合は、しっかりと確認をとるようにしましょう。

マージンとは

 マージンとは手数料のこと で、ネットとグロスよりも広く使われることから意味を知っている人もいるでしょう。

ネットとグロス、マージンの関係を式で表すと次のようになります。

ネット(広告の原価) + マージン(手数料) = グロス(総額)

この式を覚えてしまえば、それぞれが別のものを指していることがわかるでしょう。

予算を立てる際には、すべてを混同せずに切り分けて考えなければなりません。

ビジネスにおけるネットとグロスの使い方

ビジネスにおいて、 ネットとグロスを使い分ける主なシーンは、財務分析やクライアントとの商取引のとき です。

費用そのものを計算する際にも使用されますが、費用対効果を考えるうえでも使用されます。

それぞれの使い方と計算方法を確認しましょう。

ネットとグロスそれぞれの計算方法

ネットとグロスの計算方法は、 ネットに主軸を置く「ネット建て」とグロスを中心に考える「グロス建て」の2種類です 

どちらに主軸を置いて計算するかで、マージンやグロスが変化します。

なお、マージンは30%です。


グロス建ての場合、マージンはグロスの30%が適用されるため30万円となる一方、ネット建てではネットの70万円に対してのマージンの計算になるため、21万円で収まります。

日本ではグロス建てが一般的でしたが、近年は外資系企業と足並みをそろえるためにネット建てが主流になりつつあります。

単純に見積りを依頼するだけでは、どちらで計算しているのかがわかりません。

価格に大きな差が生まれるため、マーケティングにおいて広告を依頼する場合は注意しましょう。

CPAを計算する場合

効果測定を計算するCPA(Cost Per Action)でもネットとグロスは使用されます。

いわゆる 費用対効果のこと で、計算式は次のようになります。

CPA = 広告費 ÷ CV(コンバージョン)

広告費にはネットとグロスの両方を用い、2種類のCPAを算出するのが理想的です。

仮に、CVが10件であった場合を計算しましょう。

費用対効果の目標CPAは7万円と仮定します。

  • グロス建て:100万円 ÷ 10件 = 10万円
  • ネット建て:70万円 ÷ 10件 = 7万円

マージンが上乗せされている分、グロス建ての方が赤字になっているように見えます。

しかし、だからといって完全に自社運用をしても黒字になるとは限りません。

自社運営にしても、マージンが人件費を上回らないとは限らないためです。

 目標のCPAに対して広告運用を外注するか自社運用するかを判断するには、ネットとグロスの両方を算出 しましょう。

ビジネス以外で「ネット」「グロス」が使われる場面

マーケティング以外の業界でも、ネットとグロスが使われることは少なくありません。

以下に挙げる3つのシーンにおけるネットとグロスの使われ方について解説します。

  • 不動産
  • 自動車
  • ゴルフ

ネットとグロス:不動産

 不動産においては、グロスは利回り、ネットは実質利回りを意味します 

主に不動産投資で使用されます。

5,000万円で購入したマンションから年間100万円の家賃収入が得られたと仮定した場合、「100万円 ÷ 5,000万円 × 100」で2%の利回りとなり、この利回りがグロスです。

実質利回りとは、得られた家賃収入から固定資産税や修繕費などの必要経費を差し引いた割合を指します。

上記のパターンでもろもろの必要経費が年間20万円必要となった場合「80万円 ÷ 5,000万円 × 100 = 1.6%」となり、この数字がネットと呼ばれます。

ネットとグロス:自動車

自動車業界でも、 エンジン出力の試験方法で使用される基準 として「ネット値」「グロス値」という言葉が用いられます。

日本産業規格(JIS)で定められた、以下の条件下で算出した値をそれぞれ「ネット値」「グロス値」と呼びます。

ネット値
エアクリーナーやマフラーを含む、エンジンを車両に搭載したときとほぼ同じ付属装置を装備して測定する、ネット軸出力で算出された数字
グロス値
エアクリーナーやマフラーを含まず、エンジンの運転に必要な付属装置のみを装着した状態で測定する、グロス軸出力で算出された数字

現在の自動車出力は、ネット値で記載されています。

より実車に近い方の数値が、カタログなどに掲載されているのです。

ネットとグロス:ゴルフ

ゴルフにおいて、 プレイヤー間でハンディキャップをつけて競う際に「ネットスコア」「グロススコア」という言葉が用いられます 

ゴルフにおけるネットとグロスの違いは以下の通りです。

名称 内容
ネットスコア プレーの総打数からハンディキャップを差し引いたスコア
実力の異なるプレイヤー間で競技が可能となる
グロススコア プレーの総打数
プレイヤーの実力を直接的に把握できる
例えば、ゴルフ経験のあるAさんのハンディキャップが5でグロスが90であれば、ネットは85です。

対してゴルフ経験のないBさんのハンディキャップが20でグロスが100であれば、ネットは80となり、Bさんが勝利するという形になります。

また、ハンディキャップがあるゴルフコンペではネットスコアで勝敗が決まりますが、もっともよいグロススコアを出したプレイヤーに対して「ベストグロス賞」が贈られることも少なくありません。

ゴルフにおけるネットとグロスの主な違いは「ハンディキャップが適用されたスコア」か「本来のスコア」かどうかです。

ハンディキャップのシステムをうまく利用することで、実力が異なるプレイヤー同士であっても競技を楽しめます。

ネットとグロスの違いを理解して適切な取引や分析をしよう

ネットは「原価」であるのに対し、グロスは手数料や税金を含む「合計金額」を意味します。

ネットとグロスの違いを理解していないと、先方に手間をかけたり、損をさせたりしてしまう可能性もあります。

理解してしまえば、それほど難しいものではありません。

 双方の意味をきちんと理解し、計算や費用対効果の分析に役立てましょう 

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