2024.08.01
コールセンターの生産性を上げるには?効率的に運営する手法を解説
コールセンター運営において、なかなか成果がでず、悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
どのように生産性を上げて、効率的に成果をあげればいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
コールセンターにおける業務は、さまざまな方法で効率化することが可能です。
本記事では、 コールセンターの生産性を上げる方法や指標となるKPI について解説します。
自社のコールセンターにおける課題を把握して、より大きな成果を達成するためには何をおこなうべきなのか検討しましょう。
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目次
コールセンターの生産性が上がらない原因
まず、コールセンターの成果が上がらない原因について考えましょう。
ただ運営しているだけでは、なかなか思うような成果を得られません。
より高い生産性を目指すために、まずは自社のコールセンターが抱えている問題点について分析しましょう。
架電本数・受電本数が少ない
アウトバウンドコールにおいても、インバウンドコールにおいても、対応する電話の本数が少なければ成果は上がりません。
まずは、母数となる電話の架電本数・受電本数を底上げする必要があります。
手動による電話応対をおこなっていると、一本一本の対応に時間がかかるため、非効率です。
しかし、システムを導入すれば 架電・受電業務を効率化でき、対応本数を大幅に増やせます。
現在どれくらいの架電・受電ができているのかを把握できていない場合には、まずは対応本数とそれにかかった時間やオペレーター人数を割り出すことから始めましょう。
通話時間以外の雑務が多い
オペレーターの業務には電話応対以外にも、電話の内容を記録したり次の電話に応対するための準備をしたりといった事務作業もあります。
いかにこのような事務作業の時間を減らし、電話にかけられる時間を増やせるかがポイントです。
事務作業に手間取っていると、本来注力すべき電話業務にかけられる時間が少なくなり、対応本数も少なくなってしまうでしょう。
それだけでなく、 顧客対応に割ける時間も少なくなってしまうため、応対品質が下がってしまう恐れもあります。
一見、成果に関係なさそうに思えるかもしれませんが、この事務作業時間の割合を減らすことで、大きな生産性の改善が見込めます。
センター内での情報共有がスムーズでない
コールセンター内で日頃から情報共有がスムーズにおこなわれていないと、オペレーターはわからないことがある度に確認が必要になり、一つの業務にかかる時間が増えてしまいます。
情報が交錯したり重複したりする要因にもなり、 顧客対応のミスにもつながります。
情報確認のために顧客を待たせたり、情報の伝達ミスによって誤った案内をしてしまったりすると、顧客からの信頼も落ち、企業イメージの損失も招きかねません。
センター内で適切に情報を管理・共有し、オペレーターがすぐに必要な情報を引き出せる業務環境を整えましょう。
適したスタッフが対応できていない
特にインバウンドコールでは、さまざまな要望や問い合わせを持った顧客から次々に電話がかかります。
かかってくる電話に対し、 それぞれ適切な担当者を割り当てられていないと、担当へつなぎなおす手間がかかり、非常に非効率 です。
また、クレームが発生した場合にも、適切な立場の者やスキルを持った者が対応しなければ事が大きくなり、収拾にも時間がかかってしまうでしょう。
このような対応の不備やたらいまわしのような事態は、顧客の不満にもつながります。
窓口を分けたりするなどして、一発で担当者につながる仕組み作りを構築する必要があるでしょう。
コールセンターの生産性を上げる方法
コールセンターの生産性はシステムを導入することによって、大幅な業務改善が期待できるため、非常に有効です。
また、教育体制や業務体制を見直すことでも、一定の業務効率の改善が見込めます。
自社の課題に合わせて、どのような手法が有効であるか検討しましょう。
コールセンターシステムを導入する
コールセンター業務の効率化には、専用のコールセンターシステムが有効です。
アウトバウンド・インバウンドそれぞれの業務に特化したシステムもあり、多様な機能で業務効率を改善できる でしょう。特に、架電本数や受電本数の改善が期待できます。
システムを利用しない場合、人員を増やすことで対応本数を増加させる方法もあります。
しかし、新たな人員の採用には時間もお金もかかり、現実的ではない場合も多いでしょう。
コールセンターシステムがあれば、少ない人数でも効率的なコールセンター業務をおこなえます。
また、高性能な分析機能が備わっているものであれば、日々の成果や改善ポイントも詳しく理解できるため、将来的にも非常に有用です。
IVRを導入する
IVRとは「自動音声応答装置」を意味し、顧客の電話応対をシステムが自動でおこなってくれる仕組みです。
特にインバウンドコールでは、電話が殺到してしまうとオペレーターが足りず、なかなか電話がつながらないといった事態もあります。
このような場合にIVRを導入していると、顧客の一次対応を任せられます。
高性能なIVRでは、簡単な内容であればそのままシステムが顧客対応を完結させられる 場合もあり、受電本数を減らすことにも貢献してくれるでしょう。まったく電話がつながらないのは、顧客にとっても不満の一因になり、イメージの悪化を招いてしまうため、効率的に受電をさばくことは非常に重要です。
テレワーク化する
コールセンター業務は従来、テレワークや在宅勤務が難しいとされていた仕事です。
しかし、クラウド型のコールセンターシステムやPBXが普及したことにより、近年では場所に関係なく、コールセンター業務をおこなえるようになってきています。
テレワークや在宅勤務を取り入れることで従業員は働きやすくなり、一般敵に高いとされるオペレーターの離職率を下げられるかもしれません。
また、クラウド型のコールセンターシステムやPBXを導入していれば、 管理者が対応しなければならない特異なケースや緊急事態でも、担当者がいる場所に関わらず、タイムリーに対応できる ようになります。
オペレーターが定着してくれれば、個人のスキルや組織力も上がり、応対品質や生産性の向上が期待できるでしょう。
オペレーター教育に力を入れる
コールセンターでは、オペレーターのスキルが生産性に大きな影響を及ぼします。
スキルが低いオペレーターばかりでは、 業務効率が悪くなるだけでなく、対応品質の低下にもつながり、成果もなかなか上がりません。
さらに一般的にオペレーターの離職率は高いと言われており、入れ替わりの激しい職場でもあるため、教育の充実化は非常に重要です。
効率的に教育をおこなえるよう、マニュアルを整備したり、教育プログラムを策定したりするなどして、仕事に素早く定着できるような仕組み作りを検討しましょう。
また、わからないことがあった場合には、すぐに情報を探し出せるような環境を整えておくことも重要です。
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コールセンターの生産性を計るKPI・指標
コールセンターの生産性を計る上で、指標となる数値があります。
感覚ではなく、実際の数値に基づき、業務効率を分析することが重要です。
普段から組織のデータを把握しておくことで、現状を正しく理解できることはもちろん、改善をおこなった際の効果測定も容易になります。
コールセンターの業務効率を分析する場合には、以下のような数値を参考にしましょう。
CPH(Call Per Hour)
CPHは「1時間当たりの対応件数」を意味します。
コールセンター全体の生産性を計るほか、オペレーター個人の生産性を計る場合にも用いられる指標です。
【計算式】 対応件数÷稼働時間
CPHが高いということは、一人ひとりのオペレーターが効率的に業務をさばいていることの表れでもあります。
上限はあるものの、できるかぎりCPHの向上に努めることが、コールセンター全体の生産性向上につながると言えるでしょう。
もちろん個人の能力やスキルが問題の場合もありますが、業務環境が整っていなかったり、業務遂行において課題があったりすることも考えられます。
CPHの向上を目指すには、効率的に業務をおこなえる環境作りとオペレーターのスキルアップという2つの軸でアプローチしましょう。
ACW(After Call Walk)
ACWは「平均処理時間」を意味し、1回の顧客対応における、後処理に要した平均時間を指します。
顧客との応対の中で得た情報の記録や電話内で受けた要望や問い合わせの処理をおこなうために要した時間などがこれにあたります。
【計算式】 値総後処理時間 ÷ 総処理件数
ACWが長いということは、通話に時間を割けていないことを示します。
ACWが長い場合には、この時間をできるかぎり圧縮するように努める必要があります。
ATT(Average Talk Time)
ATTは「平均通話時間」を意味し、1回の顧客対応における通話時間の平均を指します。
本来であれば、このATTがオペレーター業務の大半を占めているべきであると言えます。
【計算式】 総通話時間 ÷ 総処理件数
コールセンター業務において重要なのは、電話を通じて顧客対応をおこなう業務です。
この時間が充実してこそ、成約件数や顧客満足度の向上が見込めます。
ATTが少ない場合には、ACWを圧縮し、通話時間を増やす努力が必要不可欠です。
AHT(Average Handling Time)
AHTは「平均処理時間」を意味し、1回の顧客対応にかかった総時間の平均を指します。
ATTとAHTの合計とも言えます。
【計算式】 (総通話時間 +総後処理時間 ) ÷ 総処理件数
AHTの時間が長いということは、一人の顧客対応に時間がかかっていると言い換えられ、オペレーター一人当たりの対応人数が少ないことを意味します。
生産性を高めるためには、オペレーター一人ひとりがより多くの顧客を対応する必要があるため、AHTの圧縮を目指すべきでしょう。
ただし、ATTの圧縮よりもACWの圧縮により努めるべきであり、顧客対応が雑にならないよう注意する必要があります。
CPC(Cost Per Call)
CPCは「1コールあたりのコスト」を意味します。
このコストには、オペレーターや管理者の人件費、通信費、家賃などが含まれます。
【計算式】 コールセンター全体のコスト÷コールの処理件数
中でも、変動の度合いが高い人件費をメインのCPCとして見る考え方もあります。
生産性を考える上で、費用の面は欠かせません。
システム導入を考える際や人員の増加・削減を考える際には、必ず注視しなければならない指標です。
実際の成果と照らし合わせることで、費用対効果を検証できます。
稼働率
稼働率はオペレーターの勤務時間の中でも、顧客対応に割いた時間の割合を意味します。
離席時間は単純に席を離れている時間や受電を待っている時間だけでなく、管理者からの指導を受けている時間や研修時間なども含まれています。
【計算式】 (会話時間+後処理時間+その他の業務時間)÷(総ログイン時間-離席時間)
稼働率は無駄とは言えない離席時間も含まれているため、一般的に理想とされる値は80~85%と言われています。
稼働率がこれ以上低い場合には、オペレーターの稼働が非効率であることが疑われ、無駄に持て余している時間がないか調査する必要があるでしょう。
教育や指導の時間ではなく、ただ待機している時間が多い場合には、人員の整理を検討したほうが良いと言えます。
成果のためにもコールセンターの生産性向上は必須!
コールセンターはアウトバウンドではより多くの成約を得ること、インバウンドでは顧客の要望や問い合わせに素早く対応すること、などの明確な目的があります。
このような目的を達成するためにも、効率的なコールセンター運営をおこなう必要があります。
まずは、コールセンター内の稼働状況を把握し、どのような課題があるのか分析しましょう。
すべての業務を手動やアナログな方式でおこなっている場合には、 システムを導入することで大きく改善できる 場合があります。
コールセンターの生産性を上げるには、日頃から運営状況をしっかりチェックし、問題点を一つひとつ潰していく作業が必要です。
より大きな売上や高い顧客満足を得るためにも、センター全体やオペレーター個人の生産性にも注視して、運営しましょう。
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