5732

テレマーケティング業界の最新情報をお届け

2022.06.27更新

コールセンターにおけるKPI(インバウンド・アウトバウンド)一覧|KPI設定のポイントを解説

「KPI」とは、簡単にいうと最終目標を達成するための中間目標といえます。最終的に大きな目標を達成するためには、そこまでの過程においていくつもの小さな目標を設定し、その目標を順番にクリアしていくことが大切です。

コールセンター業務に電話応対時間、品質、顧客満足度などのKPIを設定することで、現状の課題把握と解決につながります。

■合わせてよく読まれている資料
コールセンターでのデータ活用による営業効率アップノウハウ」も合わせてダウンロードいただけます。

コールセンターでのデータ活用による営業効率アップノウハウ

KPIとは


企業で扱う目標として、「KPI」と「KGI」が挙げられます。

KPIを簡単に説明すると、目標達成に向けた達成度合いを評価するための評価指標で、中間目標と表現する場合もあります。それに対してKGIは、Goalという単語からもわかるとおり最終目標です。KPIが中間目標であるのに対してKGIが最終目標であることから、KPIの達成すなわちKGIの達成につながるのです。

KPIの必要性


KPIとKGIは密接な関係にありますが、なぜKGIを達成するためにKPIが必要なのかというと、KGIというのは、とかく大きなものになりがちであるためです。

分かりやすく売上で例えてみましょう。とある企業が「1年後までに売上1000万円を増加する」というKGIを設定したとします。このような場合、12か月目(最終月)で1000万円を稼ぐのは難しいでしょう。達成するには毎月の売上を増加させる必要があり、この月々の売上をKPIとして設定することになります。

毎月どれくらい売上増を達成すればよいか、それを達成するためにはどのような営業活動が必要か、などさまざまなことを決めて実践していきます。達成できない月があった場合は、次のKPIを変更しなければなりません。このように、KGIを達成するためには、KPIの設定が不可欠なのです。

■合わせてよく読まれている資料
コールセンターでのデータ活用による営業効率アップノウハウ」も合わせてダウンロードいただけます。

コールセンターでのデータ活用による営業効率アップノウハウ

コールセンターのKPI例


先ほどは売上を例にとりましたが、コールセンターの場合どのようにKPIを設定すればいいのでしょうか。

コールセンターの業務にはアウトバウンド(発信業務)とインバウンド(受電業務)があり、それぞれの業務に対して別々のKPIが設定されます。コールセンターにおけるアウトバウンドとは、能動的に対象者へ電話を発信する業務のことで、インバウンドとは受動的にお客様からの電話を受信する業務のことです。

一般的にアウトバウンドよりもインバウンドのほうが詳細にKPIの設定を行うことが多いとされています。ここではアウトバウンドとインバウンドに分けてご紹介しましょう。

アウトバウンド(発信業務)のKPI一覧

コールセンターのアウトバウンドでよく設定されるKPIの項目は以下の8つです。

KPI 意味
架電数 電話をかけた回数
コンタクト率 顧客に繋がった回数
処理時間 1コールあたりの応対処理に要した時間
稼働率 業務時間のうち電話応対業務に充てている時間の割合
ミス発生率 ミスが発生した割合
CPH 1時間に処理したコール数
CPC 1コールにかかる費用
ATT 平均通話時間

架電数とは、対象者に電話をかけた回数、コンタクト率とはその対象者と電話が繋がった回数です。

処理時間とは1コールあたりの応対処理に要した時間のことで、コールセンターの収支を改善するためには処理時間の短縮が大きな鍵となります。

稼働率とは業務時間のうち電話応対業務に充てている時間の割合です。稼働率は100%が理想というわけではなく、目標数値は80%強に設定することが多いようです。

ミス発生率とは、その名のとおりミスが発生した割合のことで、CPHとは1人のオペレーターが1時間に処理したコール数を意味します。

CPCとは1コールにかかる費用のことで、人件費や通信費などを含めた費用が1コールに換算するとどれくらいになるのかを割り出したものです。

ATTとは、オペレーターが顧客と通話している時間の平均値になります。

インバウンド(受電業務)のKPI一覧

コールセンターのインバウンドでよく設定されるKPIの項目は次の4つです。

  • 応対品質
  • 効率性
  • 顧客満足度
  • マネジメント

応対品質とは、コールセンターがお客様に満足してもらえる対応を行えているかというもので、正しい言葉遣いや話し方、会話の進め方などによってその品質は左右されます。効率性とは、コールセンター業務を効率よくすすめるために必要となる指標です。

顧客満足度は、その名のとおり企業が提供する商品やサービスに対する顧客満足の度合いを表す指標で、この顧客満足度を上げることで利益アップを目指します。マネジメントは、オペレーターの人的配置を最適化するために必要となる指標です。

応対品質

まずは応対品質に関するKPIについて、その意味や算出方法などについてご紹介します。

KPI 意味 算出方法
応答率 電話のつながりやすさを計るための指標 応答数÷入電数
SL(サービスレベル) あらかじめ定義した応答時間内に応答できた件数の割合 設定時間内に応答できた件数÷総受信件数
ASA(平均応答速度) 着信があってから応答するまでの平均時間 受信時の待ち時間の合計÷総受信件数

応答率は電話のつながりやすさを示したKPIで、サービスレベルと組み合わせて利用するのが一般的です。応答率の高低は受信するオペレーターの数と密接にかかわっており、数が少ないと応答率も低下します。

サービスレベルも応答率と同じく電話のつながりやすさを示す指標といえるでしょう。しかし応答率だけではどれだけお客様をお待たせしたか分からないので、それを把握するためには組み合わせて利用することが必要です。多くの企業が目標応答時間を20秒以内、その割合が80%を超えるように設定しています。

平均応答速度は、サービスレベルと組み合わせることでお客様をお待たせした時間をより詳しく分析することが可能です。

効率性

続いては効率性に関するKPIについてご紹介します。

KPI 意味 算出方法
CSI(顧客満足度) 企業が提供するサービスや商品に対しての顧客満足度合い 質問に対する回答の平均値
NPS(顧客推奨度) 顧客満足度および顧客ロイヤリティを測定する方法のひとつ (推奨者−非推奨者)÷全体数

CS(顧客満足度)は「Customer Satisfaction」の略で、企業が提供するサービスや商品に対しての顧客満足度合いを表す指標です。
顧客満足度はコールセンター運営における重要なKPI項目のひとつで、応対終了後にお客様アンケートなどを実施して調査し、そのデータを数値化することで顧客の満足度合いの分析や予測を可能にします。

NPS(顧客推奨度)は「Net Promoter Score」の略で、顧客満足度および顧客ロイヤリティを測定する方法のひとつです。
業績との相関関係が認められているとされており、顧客満足度にかわる新たな指標として注目されています。

マネジメント

最後にマネジメントに関するKPIについてご紹介します。

KPI 意味 算出方法
欠勤率 出勤予定日のうち欠勤した日の割合 欠勤日数÷出勤予定日数
離職率 在籍人数に対する離職者の割合 当該期間の離職者数÷当該期間の在職者数

欠勤率が高くなると、在籍人数的には足りているオペレーターの数が実質的に人手不足の状態で運営することになりかねません。欠勤率を下げるためには業務によるストレス対策や職場環境の改善などが必要になります。

離職率は、インバウンド業務において最も重要なKPI項目のひとつです。離職率が高くなると生産性や精度が落ちるだけでなく、新たに採用するためのコストや新人を教育するための負担などが増加します。そのため離職率を下げるマネジメントはとても重要です。

KPI設定時のポイント


最終目標を達成するためには、そこに到達するまでの過程においてKPIを設定することが大切だということをご紹介しました。

しかしただ闇雲にKPIを設定すればいいというものではありません。KPIを設定する際にも重要なポイントがあります。ここではKPI設定時のポイントについてご紹介しましょう。

今回ご紹介する主なポイントは次の3つです。

  • 現状の3割改善を目標にする
  • 目標の数値化
  • 問題の原因を突き止める

設定する目標は高すぎても低すぎてもよくありません。現状の3割を改善するくらいの適度な難易度の目標を設定しましょう。また、目標は数値化して明確にすることが大切です。そして現状の問題がどこにあるのかその原因を突き止めたうえで、問題を改善するための目標を設定しましょう。

現状の3割改善を目標に

最初のポイントは、現状の3割改善を目標にすることです。上述したように設定する目標は高すぎても低すぎてもよくありません。設定した目標が高すぎると目標達成は不可能だと感じてしまうため、かえってモチベーションの低下を招くおそれがあります。

また、設定した目標が低すぎると張り合いをなくしますし目標を簡単に達成できてしまうため、これもまたモチベーションアップにはつながりません。目標を設定する際は、ちょっと無理をして頑張れば達成できるくらいの適度な難易度のものを設定しましょう。その適度な難易度というのが現状の3割改善なのです。

頑張って目標を達成できると仕事に対して自信がつきますし、現場のモチベーションアップにもつながります。

目標の数値化

目標を設定する際は、曖昧な目標にせず、数値化して明確にすることも重要です。KPIを設定するときも、誰が見ても達成したかどうかがはっきりと分かる項目を設定しましょう。

例えば「販売数」や「成約率」、「注文件数」などのように数値化しやすい項目を選びましょう。また、KPIを設定する際は達成の期限を明確に設定することも大切です。人は期限を設けないとなかなか行動を起こしません。「いつまでに達成する」という期限を数値化して明確にすることで、その期限から逆算して行動することができますし、より具体的に行動することが可能です。

目標を数値化することは、目標がより具体的になりモチベーションアップにつながりますし、期限を設けることで生産性も向上します。

問題の原因を突き止める

KPIを設定する前に、問題の原因を突き止めることも忘れてはなりません。課題解決を目的としたKPIの場合は、問題の原因がわからなければ改善の方向性が決められず、結果KPIも設定できないためです。

例えばある特定の問題についてその原因が「部署内全体の問題なのか」それとも「各オペレーターの問題なのか」によって設定すべき目標も変わってきます。

部署内全体の問題ならその問題を改善するための目標設定が必要ですし、各オペレーター個人の問題なら個人で改善すべき目標設定が必要です。このように問題の原因を突き止めることで適切な目標の設定が可能になります。現状を変えるためにKPIを設定する際は、問題の原因がどこにあるのかをしっかりと見極めることが重要です。

まとめ


コールセンターにおけるKPIは、アウトバウンドとインバウンドの業務によって設定する項目は異なります。また、マネジメントや品質向上など、目的に応じても適したKPIが変わるため注意が必要です。

KPIを設定する際は、問題の原因を突き止めてからその問題を改善する適度な難易度の目標を数値化し、設定するのがポイントです。問題に合わせて適切なKPIを設定し、最終的な目標を達成しましょう。

■合わせてよく読まれている資料
コールセンターでのデータ活用による営業効率アップノウハウ」も合わせてダウンロードいただけます。

コールセンターでのデータ活用による営業効率アップノウハウ