2024.07.30
コールセンター業務の在宅勤務を導入する方法|導入メリットとデメリットもわかりやすく解説
自社のコールセンター部門を在宅化する場合、クリアすべき課題がいくつもあります。他の部門とは異なりセキュリティ面や機器の問題からスムーズに移行できない事例も珍しくありません。しかし新たなシステムの導入と手順を知っておけば、コールセンターも在宅化は可能です。本記事では在宅化のメリットやデメリットに加えて移行手順、そして事例をご紹介します。
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目次
コールセンターの在宅勤務化の現状
働き方改革やテレワークが推奨されるコロナ禍において、コールセンター業務の在宅運用が求められています。またBCP対策の観点からも、災害発生時に備えてセンターを分散するといった対応が必要です。しかしながら在宅化には課題も多く、取り組めない企業も多くあるのが現状です。
問題点として挙げられるのは機材の貸し出しやセキュリティ面、労働時間などの管理、そして上司とのコミュニケーションが取りづらくなることでの品質管理が難しくなる点です。またカスタマーハラスメントなど精神的なストレスがかかる業務もあり、人材不足も在宅勤務問わずコールセンターにおける問題として挙げられます。
いかに改善して事業を継続するかの対策が求められていますが、なかなか在宅化できないのが現状というセンターも珍しくありません。
コールセンターを在宅化するメリット
コールセンターを在宅化するメリットには、次の2点が挙げられます。
- 人材を確保しやすくなる
- 自宅から離れることが難しい方や遠方に住む方も雇用できます。家庭との両立がしやすくなり、育児や介護などで通勤が難しかった人なども勤務しやすくなるでしょう。通勤のストレスから解放されるので、離職率の低下も期待できます。
- 有事の際にも対応がしやすくなる
- 災害によりセンターを封鎖する事態がなくなり、有事の際にも運用を継続できます。たとえばオフィス周辺の火災や停電などが発生しても、オペレーターの自宅に何事もなければ業務を継続できるのです。
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コールセンターを在宅化するデメリット
コールセンターを在宅化するときにはデメリットも検討する必要があります。
- 導入まで時間やコストがかかる
- コールセンターを在宅化するには、クラウド型のコールセンターシステムの導入や回線の整備、オペレーターが使うPCの手配など、環境構築の時間とコストがかかります。ただしすでにクラウド型のシステムを運用しているなら、在宅化までにさほど時間はかからないでしょう。
- 社内のコミュニケーション不足
- 在宅化することで、オペレーターと管理者が直接コミュニケーションをとる機会が減ってしまう可能性があります。ビデオチャットやミーティングシステムを導入すれば、お互いに顔を合わせながらコミュニケーションをとれるようになります。
在宅勤務化する際の課題と解決策
コールセンターを在宅化する際の課題は大きく分けると以下の3つが挙げられます。
- セキュリティ対策
- 労務管理
- 品質管理
セキュリティ対策はアクセスを限定したパソコンを用意し、定期的にチェックを行いましょう。労務管理では、勤怠管理システムやチャット・ミーティングツールの導入が効果的です。品質管理では、オンライン研修の開催や遠隔モニタリングを用いたオペレーションなどを活用しましょう。
セキュリティ対策
個人情報を扱うケースが多いコールセンターでは、情報漏洩が発生すると大きな問題につながります。例えば会員制サービスの窓口であれば顧客の生年月日や氏名などを扱いますが、絶対に漏洩してはいけない情報です。
しかし在宅業務においてもオフィス業務と基本的に対策は変わりません。セキュリティエリア内へのスマートフォンなど電子機器の持込みを禁止し、専用ソフトが導入されたパソコンを利用しているのが個人情報を扱うコールセンターの一般的なセキュリティ対策です。
使用するパソコンを企業側で用意し、かつコピーや不要なサイトへアクセスできない設定にすれば個人情報の漏洩事故を防げます。またセキュリティに関するルールを企業側が設定することも重要で、オペレーターに対してセキュリティの意識をもってもらうための説明や随時理解度チェックの実施も不可欠です。
労務管理
労務管理はオペレーターの教育や評価、そして悩みを抱えてないかといった人間対人間の関係が重要な点です。コールセンターに限らず在宅業務ならジャンル問わず発生する問題ですが、オフィスで実施している場合と同様にコミュニケーションを重視することが解決につながります。
オペレーターのモチベーション維持や悩みの発見にはチャットによる相談の受付、そしてビデオ会議を活用し顔を合わせてのマンツーマンミーティングなども重要です。在宅業務で仕事とプライベートの切り替えが難しいオペレーターも、会議システムの活用でオンオフを切り替えやすくなります。
いかにチャットや顔を見せた会議システムでの通話時間を増やすのかが、オフィスと同様にオペレーターを管理できる大きなポイントです。
品質管理
在宅化における品質管理の問題点は通話でトラブルが発生している際に気づけない、管理者がそばにいないためオペレーターがエスカレーションしにくいといった点が挙げられます。また通話に不慣れな新人教育も在宅では行いにくいと考える方も少なくありません。
応対品質を高めるためには研修による指導、通話中のサポートが重要です。特にOJTの場合やトラブル発生時などオペレーターのそばで話してほしい内容を耳打ちする、いわゆるダブルジャックが使えないとサポートが難しいと思うかもしれません。
しかしウィスパーというオペレーターへの助言ができる機能を使えば耳打ちと同様のサポートが可能です。通話時間が長くなった際に遠隔モニタリング機能を活用すれば、トラブルを事前に防止できます。またFAQをきちんとつくりこみ、ミーティング機能などを活用してオフィスと同様の研修を実施すれば品質も高められるのです。
在宅化に向けてやるべきこと
コールセンターの在宅化を進める際、他の部門における在宅化や新たな部門を設置する際の作業と大きく変わるステップはありません。行なうべき作業は4段階のステップに分けられます。
- 現状を調査する
- 移行計画の策定
- 準備
- 移行
それぞれのステップをご説明します。
1.現状を調査する
まずは現在オフィスで使用しているシステムや業務フローを洗い出します。新たなCTIシステムを活用する場合にはクライアントから求められるセキュリティレベルを満たしているか、利用システムとの互換性があるかをチェックしておかなければいけません。
長く運営しているセンターの場合、現場の業務がマニュアル化されていない事例も珍しくないため、すべての作業を可視化する必要があります。セキュリティレベルに応じて個人が使用しているパソコンにソフトをインストールしてもらうのか、センター側にて支給するパソコンを用意するのかも検討するべき点です。
他にも現在オフィスで勤務する状況における問題点も洗い出しておきましょう。在宅化によるメリットがどれだけ多くあるかも事前に確認しておくべき内容です。
必ずしも在宅化を前提に調査するのではなく、ひととおり洗い出した上で在宅化するべきかどうか可否を判断しなければいけません。現場の調査結果によってはやはり在宅化は難しいとの判断になるかもしれません。しかし在宅化にぴったりなシステムを活用すれば多くの問題点は解決できる点も認識しておきましょう。
2.移行計画の策定
在宅化ができると判断したら、スムーズに移行できるように計画を策定します。業務によっても異なりますがコールセンターとして一般的に挙げられるタスクは下記です。
- システムを移行する準備(費用、スケジュール、開発依頼)
- クライアントとの打ち合わせ(委託の場合)
- システムベンダーとの調整
- 従業員への在宅化研修
- 現場への周知、移行準備の連絡
計画が策定したら、各部門へスケジュールと共に通知し準備を進めてもらうことも重要です。幹部社員はみんなスケジュールや準備作業が頭に入っているのに、現場の従業員には全く伝わっていないとなると、スムーズに移行できません。
また導入するシステムのベンダーが必要なシステムを制作するのに日数がかかる可能性もあります。ひととおり各部門への通知や相談を終えてからスケジュールを組み直すケースもあるため、柔軟に対応しなければいけません。
3.準備
移行に向けた具体的なタスクが決まったら、続いてタスクに沿ってひとつずつ準備を進めていきます。大きく分けると準備は下記の3種類です。
- システム面
- 従業員などスタッフ面
- 機器面
システムの構築は大元の電話番号やIPアドレスの設定に加えて、ソフトフォンの設定なども行ないます。業務内容によって必要なシステムは異なりますが、個人情報を扱うセキュリティ性能の高い業務では仮想デスクトップの採用など大きく変わる可能性もあります。
従業員への研修では従来使用していたソフトとは異なるシステムの活用、オフィスとは異なるセキュリティ面の教育が必要です。特にセキュリティ教育は従来のマニュアルでは内容不足になってしまうため、自宅で作業する点についてきちんと追記しておかなければいけません。
機器はヘッドセットやパソコン、周辺機器などを準備します。しかし在宅で業務するにあたって必要なデスクやネット回線が自宅にないオペレーターがいるかもしれません。その場合スマートフォンやルーターの貸与、場合によっては作業環境を整える金額補助が必要になるケースも出てきます。
4.移行
計画どおりにタスクが進行し、事前準備も整ったら後は移行するだけです。しかし従来とは全く異なる環境で電話対応するケースもあります。万が一のトラブルに対応できるよう、あらかじめ予行演習の時期を設定しておくべきです。
移行作業が完了すれば在宅化の一番大変な部分は終了します。しかしもっとトラブルが起きやすい部分でもある点を認識しておかなければいけません。実際に設定されたパソコンを使用していたらセキュリティ面での問題が見つかった、新たにつくったFAQやトークフローで内容の抜けがあるなど、どんなトラブルが発生するか分かりません。完全に準備していたつもりでも万全とは限らないと考えておきましょう。
可能であれば一度にすべてを在宅へ移行するのではなく、一部のオペレーターから徐々に移行して一定期間を経て完全に移行するのがおすすめです。システムトラブルが発生し受電や発信ができなくなった場合でも、従来どおりのセンター運営の対応スタッフにて業務を遂行できます。
コールセンターの在宅化成功事例
コールセンターの在宅化はシステム的に対応できると分かっていても、本当にうまくできるのか不安に感じる場合もあるでしょう。コールセンターが在宅化に成功している事例と成功ポイントを参考にすると、自社での運用をイメージしやすくなります。コールセンターの在宅化に成功した事例を3つご紹介します。
- 例:保険会社Aのコールセンター
- コロナ禍より以前に災害におけるトラブルに対策できるよう、仮想デスクトップを導入して在宅化への構想を進めていました。従業員には事前に在宅勤務の研修を行い、セキュリティ面ではクラウドPBXによる発信や音声データの暗号化、などの対策で情報漏洩対策をとっています。その結果、在宅勤務率95%を達成したのです。
課題:セキュリティ面
成果:在宅勤務率95%|仮想デスクトップの導入と研修強化,
参照:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2012/01/news025.html
- 例:企業 Bのコールセンター
- 24時間・365日体制のコールセンターなので、在宅化が難しい状況でした。しかしすでに構築されたインフラを活かし、VDIやCTIシステムの導入を開始します。同時に従業員の研修やオフィス内で数回のテストを行い、PCや回線、周辺機器なども提供し個々の環境も確保しました。COPC認証も取得し、顧客満足度85%を達成したのです。
- 例:企業 Cのコールセンター
- 電話環境と情報機器の準備が課題でしたが、クラウドサービスを利用することでスピーディーに在宅化が実現しました。固定電話機での受電や架電といった応対作業をスマートフォンでできるようになり、従業員はアプリをインストールするだけで利用できたので、準備期間にも時間がかかりませんでした。
まとめ
コールセンターの在宅化を検討しているけれど、システム面やセキュリティ面で不安がある方は、現在使用しているものとは異なるシステムを活用すると解決できる可能性が高くなります。
インバウンドでセールスを実施する場合には、Scene LiveのOSORAをぜひご検討ください。複数の電話番号利用やチャンネルを用意できるのはもちろん、チャットアプリとの連携も可能です。オペレーターの教育やフォロー、管理者同士のミーティングなど既存のサービスとも連携できるので、小規模な部署の立ち上げから大規模コールセンターの移行まで幅広く活用できるでしょう。
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