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2022.06.27更新

感情分析とは?コールセンターに感情分析を導入し期待できる効果

コールセンターで大きな課題となるのが慢性的な人手不足です。クレーム対応などの精神的ストレスが原因で退職してしまう人も少なくありません。研修を行うにしても良い資料や事例がなく、思うような効果が上がらないという声も聞かれます。このような問題の解決で注目されているのが、AIを使った音声分析や感情分析です。ここでは感情分析の概要と期待できる効果についてご説明します。

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感情分析とは

感情分析とは、音声や文字などから相手が抱いている感情を読み取ることです。コールセンターであれば、会話やチャット、メールなどから顧客の感情を読み取ることになります。分析できる感情は、喜び・好き・中立・怒り・軽蔑・嫌悪感・恐怖・悲しみ・驚きなどです。

例えばアウトバウンドコールで感情分析ができると、購買しそうにない顧客へのコールは早めに切り上げ、次の顧客にうつる、という効率の良いオペレーター稼働が可能になります。インバウンドにおいても、怒りや不安といった顧客の感情が早めに把握できれば、ベテランのオペレーターや管理者へまわすといった対応がしやすいでしょう。

ベテランのオペレーターでは、すでにこのような感情分析ができている可能性があります。しかしその他のオペレーター全員に感情分析の研修を行うとなると、膨大な時間がかかるでしょう。

そこで注目されているのが、AI技術による感情分析です。AIによる感情分析では、声のトーンやアクセント、表情や使用される単語などさまざまな要素から、相手の感情を可視化することができます。AIによる感情分析から、さらに成約率が高いケースと低いケースで見られる傾向を分析することも可能です。これらをテキスト化すれば、オペレーターのトレーニングに活用できるでしょう。

AIが感情を分析する方法

AIが感情を分析する方法として、以下の2つが挙げられます。

画像
画像に映っている人物の表情から感情を読み取る方法です。動画から切り出した静止画でも分析が可能です。膨大な表情データの中から近いものを探すのが一般的ですが、なかには顔の表情筋や瞳孔の大きさなどを細かく分析できるシステムもあります。
音声
声の抑揚や大きさ、話すスピードや声のトーンなどの物理的特徴から感情を分析する方法です。喜び・平常・怒り・悲しみといった感情を読み取ることができ、4つの感情とそれぞれの数値をグラフなどで表します。なお、話す言語によって分析結果が左右されることはありません。

音声分析との違い

音声分析は、会話内容を分析することです。コールセンターであれば、会話内容を録音し、その音声データを文書化して会話の内容を精査するのが一般的でしょう。顧客のニーズや方向性を捉えて経営戦略に活かす、あるいはトレーニングや研修の題材にするといった活用方法があります。

しかし音声分析だけでは十分でない点も存在しました。それは文書化されたデータだけでは顧客の「本当の気持ち」をつかみきれないケースがあるためです。たとえば相手は「ありがとう」と言ったけれど、心の中では「困ったな」と思っているかもしれません。しかし「ありがとう」という文字データだけでは、そこまで読み切れません。そこでコールセンターをはじめ対人対応が多い企業では、音声分析だけでなく感情分析に注目しているのです。

コールセンターが抱える課題

コールセンターが抱える課題は沢山ありますが、主要な問題となると以下の3点に集約されることがほとんどです。

  • 業務効率化ができていない
  • オペレーターのケアができていない
  • 品質管理が不十分

以下の項目で、これらの課題がなぜ発生してしまうのかを解説します。

業務効率化ができていない

業務効率化ができない理由には、大きく2つが挙げられます。まず1つ目はオペレーターの人手不足によってコールセンターを管理するSV(スーパーバイザー)の負担が増加してしまうことです。

SVはコールセンター全体を管理しながら、オペレーターの教育なども行わなければなりません。SVの手が回らなくなると教育が不十分となってしまい、オペレーターを採用しても育ち切らず通常業務をこなすだけで精一杯になってしまうでしょう。そのような状況では、業務効率化といった取り組みを進めることが難しくなってしまいます。

またデータ分析ができていないことも業務効率化が実現できない理由です。多くのコールセンターでは、顧客とオペレーターの会話を録音して音声データとして蓄積しています。また、コールセンターシステムでは、成約率や通話時間などのデータ取得や分析ができる場合があります。このようなデータを分析すれば、業務改善や効率化のヒントを得られるでしょう。

しかしSVが音声データをひとつひとつ聞きながら分析し、オペレーター全員のデータを分析するとなると途方もない時間がかかるでしょう。そもそもコールセンターシステムを導入していなければオペレーターの分析ができないため、業務効率化への活路を見出すことも難しくなってしまいます。

オペレーターのケアができていない

オペレーターのケアができていないという課題も、多くのコールセンターが抱える課題です。コールセンターで稼働しているオペレーターの人数は多く、SVが個々のオペレーターの現状を把握するのはほとんど不可能といえます。オペレーターが困っていることや悩んでいることをSVへ言いづらい、そしてSVは個々のオペレーターに対して気を回せずサポートしきれない、といった環境では、オペレーターのストレスが溜まってしまい、離職へとつながってしまうでしょう。

また、ケアをする場合も、ケアの内容に注意しなければなりません。オペレーターにはそれぞれの個性があり、性格や経験、対応能力などに必ず差が存在し、ケアをする際は個々のオペレーターの特徴を把握したうえで、適切なケアをしなければオペレーターの不安や不満が解消されないためです。さらに、ケア内容や方向性を決めるためには、オペレーターとの個別面談が必要となるでしょう。しかしそのような時間を十分にとることができないのがコールセンターの現状です。

品質管理が不十分

コールセンターの品質管理には、上で挙げた課題が大きく影響します。インバウンドの品質管理では、顧客からの問い合わせに対して、どのオペレーターが受電しても同じように正確かつ最適な応対をすることを目指すでしょう。アウトバウンドの品質管理においては、よりよい顧客体験を提供して購買につなげることが目標といえます。

スキルの高いオペレーターであれば、このような応対が可能でしょう。しかし実際に受電するオペレーターの応対レベルは均一ではありません。オペレーターの応対の差はすなわち品質の差につながります。

この差を埋めるためには教育が必要です。「このような問い合わせに対しては、こう対応する」というトークスクリプトや指示が出せればよいのですが、適切なトークスクリプトや指示を出せるだけのデータが収集できていないことも少なくありません。前述したように教育できる体制が整っていない、あるいは時間的な余裕がないといった理由から、応対品質の向上がままならないのです。

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感情分析サービス導入で期待できる効果

感情分析サービスを導入することで、以下のような効果が期待できます。

  • 顧客満足度の向上
  • 成約率の増加
  • 将来的なクレームの防止
  • 離職率の低下

次章でそれぞれを詳しくご説明します。

顧客満足度の向上

AIによる感情分析サービスの導入で、顧客満足度の向上が期待できます。会話の裏に隠れている顧客やオペレーターの感情を分析して、怒りや悲しみといった感情をマークできるのです。

顧客に応対中のオペレーターにこのような感情が発見された場合、クレームを受けている可能性があります。早期に発見できれば、その分迅速にケアを行えるようになります。例えば、顧客に聞こえないささやきアドバイスをする、あるいはスーパーバイザーに交代するなどの処置が挙げられます。このような迅速なケアやサポートができれば顧客にとって最適な応対をとることができ、顧客満足度の向上につながるでしょう。

しかしSVは10~20名のオペレーターを同時にサポートしなくてはなりません。担当するオペレーター全員の細かな感情の変化を逐一把握するのは大変困難でしょう。AIの感情分析を導入すればオペレーター全員の感情の機微をその場でデータ化できるので、SVはサポートやケアの要否を判断しやすくなるのです。

成約率の増加

AIによる感情分析サービスの導入で、成約率の増加という効果も期待できます。とくにアウトバウンド型のコールセンターにとっては、会話している顧客が抱いている気持ちを把握できれば、「喜び」や「好き」などのポジティブな感情が見られない顧客との会話を早々に切り上げて次の顧客に架電する、という対応が可能になります。

また、応対当初はポジティブでもネガティブでもない顧客だったが、あるワードをきっかけに少しポジティブな感情に傾くことがあります。ベテランオペレーターであれば、このような小さな変化に気づく可能性がありますが、応対するのが精いっぱいな新人オペレーターは見落としてしまうでしょう。感情分析でこのような変化をキャッチできれば、その顧客のポジティブな感情を引き出すトークをしやすくなります。

AIによる感情分析サービスは微細な変化をも数値化できるので、アウトバウンド型コールセンターにおいて成約率向上に効果的なサービスなのです。

将来的なクレームの防止

AIによる感情分析を導入すると、会話の裏に隠されたクレームを見出せるようになります。オペレーターの応対内容は、音声データを文書化することで振り返ることができます。しかし顧客がその応対に満足した、あるいは納得したかは、文字だけでは十分に読み取れないでしょう。

たとえば「わかりました」と言われた場合でも、顧客の声のトーンや声の強弱などによっては、怒りや悲しみの感情が含まれている可能性があります。その時はクレームには至らなかったけれど、同じような応対を続けてしまうと将来的にクレームに発展しかねません。

感情分析サービスを導入すれば、このような顧客の言葉の裏にあるネガティブな感情をリアルタイムに読み取ることができます。会話中に顧客のネガティブな感情が検出されたら、SVやオペレーターはクレームへの発展を防ぐ対処をその場でとることができます。また、「隠れた不満」を持つ顧客への応対事例やトークスクリプトを作成し、事前にオペレーターへ共有すれば、将来のクレーム防止にもつながるでしょう。

離職率の低下

AIによる感情分析は、離職の防止にも効果的です。感情分析サービスは、クレームの減少やオペレーターへのきめ細かいケアを可能にします。

たとえば1回の応対中にネガティブな感情が頻発している、あるいはネガティブな感情が一定期間継続しているオペレーターは、何か問題や悩みを抱えている可能性があります。放置すればオペレーターのストレスが大きくなり、モチベーションの低下を招きます。このようなオペレーターは退職してしまうでしょう。

AIによる感情分析データを参照すれば、ネガティブな感情を持つオペレーターを早期に発見することができるようになります。負担や悩みに対して素早いフォローやケアを行うことができれば、オペレーターの退職防止につながるのです。

また、感情分析結果と音声データの文書化を組み合わせて研修やトレーニングに活用すれば、オペレーターの対応スキルが向上します。スキルアップしたオペレーターは、仕事へのモチベーションも向上しやすくなります。また、スキルの平準化によって、ベテランオペレーターへの集中的な稼働を避けられるようになるでしょう。これによってベテランオペレーターの退職を防止する効果も期待できます。

まとめ

近年のAI技術は急速に進歩し、画像や動画、音声や文字などから人の微細な感情の変化を読み取る「感情分析」が可能になりました。このような感情分析は、電話が中心となるコールセンターおいて大きな効果をもたらします。AIのよる感情分析の導入は、コールセンターにとって重要課題であるオペレーターの早期退職とクレームの対応の解決につながるでしょう。

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