2024.10.16
ザイオンス効果とは?ビジネスに活かせるマーケティング、営業テクニック
「ザイオンス効果」とは、対象の人や物へ繰り返し接触するうちに、警戒心や不安などが薄れ親近感を持つようになる、心理学的な効果のことです。
ザイオンス効果は自社のマーケティング・営業活動に活かし、自社の商品やサービスの売上を向上させるメリットがあるため、多くの企業が活用しています。
しかし、ザイオンス効果を用いた宣伝や営業は、回数やタイミングを慎重に考慮しないと、顧客側の反発を招く可能性があります。
本記事では、ザイオンス効果について詳しく解説し、ザイオンス効果のメリットやマーケティング・営業への活用方法、ザイオンス効果を取り入れる際の注意点について詳しく説明します。
目次
ザイオンス効果とは
自社の収益向上のため、マーケティングや営業活動を強化したい場合、ザイオンス効果を用いた宣伝・営業方法について検討してみましょう。
ザイオンス効果とは何か?ビジネスで活用するメリットについて解説します。
ザイオンス効果の概要
ザイオンス効果は「単純接触効果」とも呼ばれており、たとえ未知の対象であっても、接触回数が増えるうちに警戒心や不安などが薄れ、親近感を持つようになるという心理的現象です。
例えば、お店で流れていたBGMや、テレビのCMでよく聞こえてくる音楽・歌詞を自然に覚えていたという現象があげられます。
多くの企業ではこの心理的現象を利用し、自社の提供する商品・サービスの売上向上を図る取り組みが行われています。
ザイオンス効果をビジネスで活用するメリット
ザイオンス効果を利用することで、顧客との信頼関係を高めることができる点がメリットです。
顧客が自社の商品やサービスに親近感を覚え、購入した際の機能や効果を詳しく知りたくなる傾向があります。また、顧客のニーズに合った宣伝や営業を行えば、徐々に信頼関係を高められるため、商品やサービスが購入してもらいやすくなります。
顧客と信頼関係が構築できれば、自社の商品・サービスの購入が継続され、長期間にわたり良好な関係を維持できるケースが多いです。
また、顧客と対面での営業に加え、広告・メールマガジンの配信も併用すれば、顧客の資料請求・会員登録や購入等、自社の利益につながる効果があります。
例えば、自社の商品・サービスを紹介するWebサイトへ来訪したユーザーに対して、「リターゲティング広告」の表示が有効です。
リターゲティング広告には、ユーザーが関心を持つ商品・サービスがあると、同じ広告を何度も表示できる機能があります。
対面営業では商品・サービスの購入に至らなくても、顧客が広告やメールマガジンで同じ商品やサービスを何度も見かけた結果、購入に繋がることがあります。
ビジネスの現場で利用されるザイオンス効果
ビジネスの現場でのザイオンス効果の活用方法は、インターネットを介したメール・SNSや、地道な対面での営業等と多岐にわたります。
- マーケティング:自社の商品・サービスを通じ、価値の創出・提供・浸透を図るため、テレビCMの放映の他、WEB広告(リターゲティング広告)、メールマガジンの定期配信、SNSの更新を実施する
- 営業:顧客とコミュニケーションをとりつつ、自社の商品・サービス購入へつなげられるように、ルート営業や定期的な電話、定例会の開催等を実施する
特に若年層向けのマーケティングでは、SNSでのザイオンス効果の活用が有効と言えます。なぜなら、若い方々が自分の知りたい情報を得るため、SNSを積極的に利用する傾向があるからです。
SNS上に自社の商品・サービスを発信すれば、SNSユーザーの目に何度も止まり、高いザイオンス効果が期待できます。
一方、営業活動ならば地道な顧客へのルート営業の他、メールやチャットでのコミュニケーションの継続が有効な方法です。顧客は日常的に営業担当者と接触する機会が生まれ、親近感が増し、継続的な信頼関係の構築に役立てられます。
ザイオンス効果とマーケティング
ザイオンス効果をマーケティングへ取り入れるには、従来から行われてきたテレビCMの他、インターネットを介した配信・投稿の実施も検討しましょう。
テレビCMの放映
テレビCMは以前から行われてきたザイオンス効果を図る方法です。
人気番組やアニメ、スポーツ中継等の間に、CMが何度も繰り返し流れると、視聴者はCMで放映された自社の商品・サービスへの親近感を持つようになります。
その結果、自社の商品・サービスへの購買につながる可能性があります。ただし、自社の商品・サービスの内容だけをCMで流すのではなく、次のような工夫をすると更に親近感を増す効果が期待できます。
- 人気の俳優やアスリートをCMに起用する
- 人気の映画やアニメとのコラボレーションを図る
- 自社の商品・サービスのオリジナルキャラクター(マスコット)をCMに起用する
魅力的な人物・コンテンツを活用すれば、自社の商品・サービスのブランド力を更に高められるでしょう。
WEB広告(リターゲティング広告)
Web広告でザイオンス効果を図る方法です。インターネットが普及した現代ではスタンダードな方法と言えます。
Web広告の中でもリターゲティング広告は、ザイオンス効果を活かした広告といえるでしょう。リターゲティング広告は、自社のWebサイトに訪問したユーザーを追跡し、繰り返しユーザーに向けて広告を配信する仕組みです。
ユーザーが関心を持った商品・サービスに対し、頻繁に広告を表示すれば、更に関心を強めたり、購入につなげたりする効果が期待できます。
メールマガジンの定期配信
メールマガジンやニュースレターを定期的にユーザーへ配信するサービスも、ザイオンス効果を利用した方法の一つです。
メールマガジンやニュースレターの読者(購読・会員登録したユーザー)は、少なからず自社の商品・サービスに関心を持っている方々です。
例えば月1回・週1回・毎日等の頻度を設定し、読者にとって有益な情報の提供を心がけましょう。配信の頻度を高めれば、新たな商品・サービスへ関心を向けてもらえる他、読者の親近感も高まっていきます。
SNSの更新
X(旧Twitter)やInstagramといったSNSによる情報発信も、ザイオンス効果を利用した方法と言えるでしょう。
SNSを利用した情報収集・発信は昨今広く普及し、企業とユーザーとが接触する機会としても重要視されています。
また、SNSは、ユーザーへの単なる情報発信にとどまらず、ユーザーからアカウントがフォローされれば、より強くユーザーとつながる機会を獲得できる強みがあります。
ただし、ユーザーが自社の商品・サービスに無関心なら、なかなかフォローしてもらえないのも事実です。
自社のアカウントのフォロー数を増やし、数多くのユーザーから認知されるため、次の方法を検討しましょう。
- 期間限定の懸賞や特典等を準備し、SNSで情報を発信する
- 懸賞や特典の応募方法は、自社のアカウントのフォロー等を条件とする
期間限定の懸賞や特典は、自社の商品・サービスの無料提供でも良いですし、自社のネット販売等でポイントサービスを行っているなら、ポイントの付与でも構いません。
また、フォローの他にSNSのリポスト(再投稿)を条件にすれば、ユーザーから更に自社の商品・サービスの情報を発信してもらえる効果があります。
ザイオンス効果を活かした営業の取り組み
ザイオンス効果を営業へ取り入れるには、従来からの地道なルート営業に加え、メールやチャットでのコミュニケーションの実施も検討しましょう。
ルート営業での継続訪問
ルート営業は従来から行われてきた、ザイオンス効果を利用した代表的な方法と言えます。
自社と取引中の顧客を中心に営業し、既存顧客からの契約更新・追加契約の獲得を目指します。訪問の回数を増やし、顧客の悩みを聴いたり、新商品・サービスの提案をしたりして、顧客との信頼関係の維持・向上を図りましょう。
訪問の回数を増やしながら次のような対応に努めると、更なる新商品・サービスの購入につながります。
- 新しく取り扱いを始めた商品や、販売強化を図りたい商品の紹介
- 現在取引中の商品・サービスの細やかなアフターフォロー
- 顧客の要望をヒアリングし、丁寧な対応を行う
ただし、新商品・サービスの紹介は短時間で行わないと、顧客が不快感を抱く可能性もあるので注意してください。
定例会のセッティング
顧客との定例会を開催すれば、顧客の間でビジネスだけでなくプライベートな話題も交わされるので、信頼関係の向上に役立ちます。
定例会で顧客との信頼関係を構築するため、次の3点に配慮しましょう。
- 開催目的の明確化:定例会の目的を明確にし、参加する顧客に会議の意図を理解してもらう
- 適切な場所・日程の選定:顧客が集まりやすい開催場所・日程を選び、参加者数の確保を行う
- プレゼンテーションの質:顧客にわかりやすいプレゼンテーション資料を準備し、簡潔に伝える
なお、デジタル技術を活用しプレゼンテーション資料の電子化はもちろん、オンライン定例会の開催も可能です。オンライン定例会ならば、開催場所・日程の制約を受けずに多くの顧客と情報共有ができます。
メールやチャットでのコミュニケーション
メールやチャットを利用した営業は場所を問わず、日程の制約を受けないので、コミュニケーションの回数を増やし、商品・サービスの継続購入に結びつけられます。
メールやチャットによるコミュニケーションは次のようなメリットがあります。
- メールやチャットの内容はテキストとして残るので、口頭で説明よりも顧客が理解しやすい
- テンプレートの利用で、文面を顧客のニーズに合わせ調整すれば、労力を軽減し効率良く営業ができる
- 自社の都合の良いタイミングで送信でき、顧客も都合の良いタイミングで確認できる
ただし、メールやチャットでの営業は顧客に気付かれないまま放置されたり、誤字・脱字があれば信用力の低下につながったりするおそれもあるので注意しましょう。
定期的な電話フォロー
定期的に顧客へ電話をかける際は、細やかなフォローを心がけ、顧客との信頼関係の維持を図ります。
電話を利用すれば、顧客の商品・サービスに関する不満・疑問をヒアリングできる他、新商品・サービスの紹介も可能です。ただし、顧客には次の配慮が必要です。
- 明るいトーンで会話する:第一声で顧客に好印象を与えられるよう、明るいトーンで話しつつ、礼儀正しく落ち着きを保つよう心がける
- 顧客のスケジュールを考慮する:相手が無理なく受電できそうな時間帯に架電、顧客が企業の場合は朝礼の時間帯である午前9時前後や昼休みの時間帯を避け、個人の場合には夕食時間帯を外す
- 顧客の話も聴きつつ会話を進める:電話の向こう側に顧客がいる、という意識を常に持ち、顧客の話に耳を傾けながら会話する
電話による対応では、まず顧客側の手が空いているかどうかを確認しましょう。顧客が応じたとしても、長時間の会話を避けるのがマナーです。
また、定期的なコールによりザイオンス効果が発揮できます。無駄のない効率的な電話営業を行うため「List Navigator.」を利用しましょう。
List Navigator.の活用により架電数を大幅にアップでき、スムーズな電話営業が実現できます。
List Navigator.はアウトバウンド特化のコールシステムであり、多回線で一斉に発信するプレディクティブ機能や、再コール通知でアプローチ漏れを防止する機能が備わっています。
ザイオンス効果を取り入れる際の注意点
マーケティングや営業にザイオンス効果を取り入れる際、顧客へ与える印象を第一に考えましょう。次の3点に注意が必要です。
効果的な接触回数は10回
営業の場合、顧客との接触回数は10回程度を上限としましょう。
ザイオンス効果は単に顧客と接触回数を増やすだけでは、十分な効果は得られません。顧客の好感度が上がる接触回数は10回程度と言われています。
10回以降はどんなに回数を重ねても、顧客への効果が期待できなくなります。10回以内の接触で、自社の商品・サービスへ関心を持つような工夫が必要です。
次の点を心がけ、効果的な営業を行いましょう。
- 顧客にとって良質な情報を提供する:単に関連性のある情報ではなく、顧客が興味を抱く商品・サービスの紹介や、そのお得な購入方法等を提供する
- 柔軟にコミュニケーション方法を選ぶ:顧客との対面での営業にこだわらず、オンラインやチャット等を利用したコミュニケーションも検討する
- 顧客との親密な関係づくりを心がける:自社の商品・サービスだけを紹介するのではなく、顧客が知りたい情報や自社と取引するメリット等も説明し、親密度をあげる
顧客のニーズに合わせた営業を行えば、顧客の継続的な購入が期待でき、信頼関係の維持も図れます
期間を空けすぎないこと
ザイオンス効果を利用したマーケティング・営業では、インターネットを利用した配信期間や顧客との接触期間についても注意しましょう。
顧客・ユーザーの関心を集め、購買欲求を高めるためには、繰り返し接触や配信を続ける必要があります。
マーケティングの場合、SNSでの情報発信やメール等の送信は、1週間に1回程度であると、十分な効果を得るのが難しくなる可能性もあります。
一方、営業の場合、毎日はもちろん短期間に集中的な営業活動を行うと、顧客に不快感を与えるおそれがあります。
顧客・ユーザーの反応やデータを取りつつ、配信や営業を行う頻度について調整しましょう。
マイナスの印象が増幅するおそれもある
顧客・ユーザーが要求していないにもかかわらず、しつこくメールを配信したり、訪問したりする方法は逆効果につながるおそれがあります。
顧客・ユーザーの反応をみて、次のような工夫を試みましょう。
- マーケティング:メール配信では顧客が配信停止の措置をとれるよう配慮する、インターネット配信は内容によって顧客がマイナスイメージを抱く場合もあるため、配信方法を十分に考慮する
- 営業活動:顧客がマイナスイメージを抱くような営業は行わない、例えば顧客が対面営業に拒否感を持つなら、オンライン営業に切り替える等の工夫をする
自社へのイメージが悪化しないよう、顧客に配慮した方法で自社の商品・サービスへの関心度を高め、売上の向上に努める必要があります。
まとめ:ザイオンス効果をビジネスに活かそう
ザイオンス効果を利用したマーケティング・営業活動は、多くの顧客から自社が注目され、自社の商品・サービスの売上向上も期待できます。
しかし、ザイオンス効果を利用した方法は、過剰に行ってしまうと顧客からマイナスイメージを持たれてしまうおそれがあります。
企業は顧客に配慮しつつ、ザイオンス効果をうまく活用していく必要があるでしょう。
また、定期的なコールはよりザイオンス効果を発揮したアプローチが可能です。無駄のない効率的な電話営業を行うため、アウトバウンドコールシステム「List Navigator.」の活用がおすすめです。
List Navigator.の活用により架電業務の効率化や音声解析によるアプローチの質向上を実現できます。是非検討してみてください。