2024.09.26
コールセンターの効率化に活用できる自動応答システムを詳しく解説
コールセンターを運営している経営者や担当者にとって、業務の効率化や生産性の向上を目指したいと考えている方も多いでしょう。
しかし思うように効率化や生産性の向上がうまくいかず、さまざまな課題が生じてしまうのではないでしょうか。
例えば、「人件費や通話料などコストが多く発生して経営を圧迫してしまう」「24時間365日の稼働を目指したいが、人手が集まらない」といったことが挙げられます。
最近では自動応答ができるコールセンター向けのシステムが進歩しており、抱えていた課題の解決につながるかもしれません。
自社のコールセンターでも自動応答システムを導入して、業務の自動化や効率化を図りたいというケースもあるでしょう。
本記事では、 コールセンターで活用できる自動応答システム について解説します。
導入のメリットとデメリット、システムの選定ポイントを詳しく説明するので、導入を検討している方は参考にしてください。
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目次
コールセンターの業務効率を上げる自動応答システムとは
少子高齢化が急速に進み、労働人口は年々減少しています。
さらにクレーム対応の場面が多く、精神的な負担が大きいことからオペレーターの離職率も高まっています。
オペレーターが減少する中で、人手を補うためにコールセンターの自動化が進められてきました。
自動化に関わる主要技術として、以下のようなシステムがあります。
- IVR
- AI音声認識
- チャットボット
- RPA
本記事では、自動応答システムの中でも利用が多い「IVR」と「AI自動応答」について詳しく解説します。
IVR
IVR(Interactive Voice Response)は自動音声応答と日本語で訳されるシステムです。
音声による自動応答システムで、 顧客がボタン操作で選択した番号に合わせて対応を完結させたり、自動でオペレーターにつなげたり できます。
問い合わせ内容を聞いてから担当者へ振り分ける、電話を取り次ぐ、などのこれまでオペレーターがおこなっていた業務の自動化が可能です。
音声認識もしくはプッシュボタンによる操作の案内を流して、用件ごとに適切なオペレーターや担当者に振り分けられたり、あらかじめシナリオを設定したりして番号を割り当てます。
例えば、「Aの用件の方は1番、Bの用件の方は2番を押してください」とガイダンスが流れます。
問い合わせ内容が多岐にわたる場合は、顧客の利便性を高めるためにも、最適なシナリオ設定は重要です。
最近はクラウド化が進んでおり、専用の装置を導入する必要もなくなってきました。
スマートフォンやPCにアプリを入れたり、ブラウザからアクセスすれば利用できたりと簡単に操作できるサービスも増えています。
特に、中小企業や個人事業主などの比較的小さい規模の会社での導入が広まっています。
AI自動応答システム
AI(人工知能)による自動応答システムは、 AIが利用者の音声を認識し、回答を検索、自動での回答 といった一連の対応を自動でおこなえます。
顧客とオペレーターがあたかも会話しているかのように返答が可能です。
- 音声認識の技術でテキストデータにする
- テキストデータを自然言語処理の技術で内容を理解
- 問い合わせ内容に対して回答を検索
- 回答をテキストデータに
- 生成したテキストデータを音声合成の技術によって音声で顧客へ伝える
一般的には以上のような流れです。
音声認識とは、スマートフォンやスマートスピーカーなどで使われている、音声を文字起こししてテキストデータにする技術を指します。
自然言語処理はテキストデータを分析して、問い合わせ内容を理解できる技術です。
例えば、AIが「お名前をどうぞ」と質問し、利用者が氏名を伝えると、AIは音声認識によって名前を復唱して確認します。
その間にAIは顧客情報を検索して、電話番号や生年月日などで本人確認がおこなえる仕組みです。
コールセンターでIVRを利用する3つのメリット
コールセンターでIVRを活用するメリットを解説します。
「24時間365日いつでも対応できる」「応答率が向上」「オペレーターのリソースの効率的な活用が見込める」です。
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
24時間365日対応できる
IVRの導入で、24時間365日いつでも対応が可能です。
土日祝日や深夜早朝などを受付の時間外としているコールセンターもあります。
しかし、仕事や学校などで、平日の受付時間に電話できない顧客も少なくありません。
IVRであれば24時間365日の対応が可能なので、電話の取りこぼしを防げます 。顧客の満足度の向上につながるでしょう。
また、24時間対応にすることで混雑の解消にもなり、顧客からの架電の時間帯を分散できます。
応答率が向上する
IVRを導入することで、応答率が向上します。
かかってきた電話の数に対してオペレーターの数が不足すれば、応答率は下がってしまいます。
IVRは自動音声で対応できる用件であれば、人を介したやり取りは必要ありません。
有人での対応が必要な用件のみを取り次ぐようにすれば応答率の向上 が期待できます。応答率の向上で、顧客の待ち時間を減らせるため満足度の向上にもつながるでしょう。
待ち時間が長引いてしまうと、大きなクレームに発展したり、次から問い合わせを敬遠されたりと顧客が離れてしまう可能性があります。
応答率の向上は顧客側にとってもコールセンター側にとっても大きなメリットです。
オペレーターのリソースを効率的に活用できる
IVRの導入によって、オペレーターのリソースを効率的に活用できます。
例えば、再配達の受付など人の手による対応が必要ない業務もあります。
ボタン操作のみでの対応で解決できる用件は、IVRに振り分けることで、作業時間やミスの発生率が削減できる でしょう。オペレーターの貴重なリソースを用件の取り次ぎやミスのフォローなどに割く必要がなくなります。
人の手の必要な業務や、顧客の声に耳を傾けるなど本来時間をかけるべき業務への集中が可能です。
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コールセンターにおけるIVRのデメリット2つ
IVRを導入するためにも、どのようなデメリットがあるのかをあらかじめ認識しておきましょう。
「顧客へストレスを与えてしまう」「シナリオ設計が不十分だとかえって効率が悪くなる」といったデメリットがあります。
それぞれのデメリットを詳しく解説します。
顧客にストレスを与える可能性がある
IVRは使い方次第では顧客にストレスを与えてしまう可能性があります。
振り分けの項目があまりに多すぎて、音声ガイダンスが長くなる からです。ガイダンスの質問が多いと、顧客はボタンを何度も押す手間がかかり、時間も取られてしまうためストレスを感じやすくなります。
振り分けの項目数は簡潔にして、案内ガイダンスはあまり長くならないようにといった工夫が必要です。
シナリオ設計が不十分だと効率が悪くなる
IVRはシナリオ設計が不十分だと、かえって効率が悪くなるおそれがあります。
シナリオ設計が不十分な場合、顧客は自分の用件がどのボタンを押せばいいかわからず「その他のお問い合わせ」に割り当てられた番号のダイヤルに集中 してしまいます。業務の効率が悪くなってしまう事態に陥りかねません。
複雑な対応でも利用者がスムーズに解決に結びつくよう、シナリオ設計や質問の内容が適切かは常に見直しましょう。
AI自動応答システムのメリット3つ
コールセンターにAI自動応答システムの導入で得られるメリットを確認しましょう。
「24時間365日の対応ができる」「人件費の削減」「柔軟な質問への対応が可能」という点が挙げられます。
AI自動応答システムのメリットを詳しく解説します。
24時間365日対応できる
AI自動応答システムは24時間365日いつでも稼働できる体制です。
顧客のニーズを取りこぼすことなく、簡単な問い合わせであればAIが対応を完了 させられます。顧客は時間を気にせず問い合わせができるため、取りこぼしを防げます。
また、営業時間の中でもコールセンターの混雑を減らせるでしょう。
人件費を削減できる
業務の効率化によって人件費の削減も可能です。
問い合わせ対応を自動化したり、入力作業を効率化 したりといったことが実現できるからです。オペレーターが少人数でも顧客への対応が可能となるため、人件費の削減につながります。
有人での対応が必要な業務と、AIに任せられる対応とを切り分けられるので、大幅な効率化が見込めるでしょう。
特にコールセンターでは同じような問い合わせを何度も対応する傾向にあります。
多い問い合わせを定型化しやりとりをAIで対応できるようにすればさらなる効率化が期待できます。
非選択式の会話や自由形式の質問にも対応できる
AI自動応答は、顧客との間で人間とのように会話ができます。
非選択式の会話や自由形式の質問にも対応できるため、柔軟な受け答え が可能です。例えば、名前や住所などの非選択式の会話、「解約したい時はどうすればいい」などの自由形式の質問への回答が可能です。
番号で回答する選択式の会話ではなく、非選択式の会話や自由形式の質問にも対応できます。
AI自動応答システムの2つのデメリット
AI自動応答システムはメリットばかりではありません。
導入にあたっては、デメリットも把握した上で検討しましょう。
「導入のハードルが高い」「適切に対応できない場合がある」の2点を詳しく解説します。
導入のハードルが高い
AI自動応答システムは導入の段階でのコストが多くかかり、ハードルが高いというデメリットがあります。
初期費用に予算をどのくらいかけられるかを明確にしてから検討してください。
システムの利用や運用コストも比較的高めなため、費用に対しての効果が得られるか も確認しましょう。また、初期設定でのシナリオ作成にも労力がかかるためハードルも高く、オペレーターがシステムの利用に慣れるまでに時間がかかる懸念もあります。
適切に対応できない場合がある
AI自動応答システムでは、適切に対応できない場合があります。
初期設定でシナリオ作成が必要ですが、あらゆる顧客からのニーズやケースを想定して作成 しなければなりません。AIであるためシナリオを使用していく中で修正し、精度は上がっていきます。
ただし、認識精度を維持するために定期的なメンテナンスは欠かせません。
メンテナンス作業には費用が発生するため、認識精度の維持とのバランスを見ながら、長期的に大きな成果が得られるかあらかじめ検討しておきましょう。
自動応答システムの選定ポイント7つ
コールセンターの自動化が進んでいるため、システムやサービスもラインナップが充実してきました。
しかし多くのシステムがあると、どれを選べばよいか悩んでしまうかもしれません。
自動応答システムの選定ポイントを7つ紹介するので、検討の際は参考にしてください。
どのような料金体系があるか
料金体系にはどのようなものがあるか、あらかじめ確認しておきましょう。
一般的に、「月額制」「1コール接続ごと」「通話時間ごと」の3種類があります。
合わせて内訳も確認しましょう。
「初期費用」「月額基本料」「付加機能の利用料」などがあります。
どのような機能があるか
自動応答システムの導入の際は、どのような機能を搭載しているか確認しましょう。
多言語での対応が可能なものや、細かい分析機能 を持つシステムもあります。多言語対応であれば、日本人の顧客に限らず海外からの顧客のニーズもくみ取れるでしょう。
分析機能は何時ごろに問い合わせが多いか、どのような問い合わせが多いかといったことがわかります。
シナリオ設計の見直しや、AIの認識精度の向上にも役立つでしょう。
設定や管理がしやすく、操作感がわかりやすいタイプを選ぶことも重要です。
機能が複雑になると、操作も複雑になる場合が多いので、運用の前に操作感を試すとよいでしょう。
同時通話数はいくつか
システムによって同時接続できる回線数は異なります。
中小企業向けと大企業向けで分けており、料金も変わってきます。
自社の規模に合わせてタイプ を選択しましょう。オペレーターとの連携の有無
自動応答システムはすべて自動での対応が可能とは限りません。
予期せぬ質問や、複雑な内容にはオペレーターの対応が必要 です。自動応答が失敗してしまうと、顧客の満足度は下がってしまいます。
そのため、オペレーターへの連携は大切なポイントです。
他のシステムと連携できるか
コールセンターでは、多くのシステムが利用されています。
それらと連携できるかどうかの確認 をあらかじめしておきましょう。さらなる効率化が見込めます。
例えば、CRM(顧客管理システム)と連携させれば、名前を伝えることで予約状況や現在の契約情報など確認がスムーズにおこなえます。
自動で登録するのであれば、API連携ができると便利です。
RPAを活用し登録作業を自動でできるシステムもあります。
発信機能があるか
コールセンターによっては、電話をかける必要のあるアウトバウンド業務があります。
例えば、予約や納期の確認、入金の催促などです。
着信だけでなく、発信する機能も備えたサービス を選びましょう。IVRとAI自動応答の連携が可能か
IVRとAI自動応答が連携できれば、より効率化ができるかもしれません。
AI自動応答で音声認識によって同意をとると答えさせることも可能ですが、「はいの場合は1を押してください」とガイダンスを流すと確実に同意の確認ができます。
分岐が多いとシナリオは複雑になってしまいます。
IVRで振り分けたあとに、電話が集中し定型化しやすい場合にAI自動応答を導入してシンプルな設計にするといったことも可能です。
IVRとAI自動応答のどちらかだけを使うだけでなく、 適切に連携させれば相乗効果 が期待できるでしょう。
自動応答システムを活用してコールセンターの業務を効率化しよう
自動応答システムを活用すれば、業務の効率化が期待できます。
コールセンター業務をコスト削減し、生産性をさらに上げたいとお考えの方は、自動応答システムの導入を検討してみてください。
自動応答システムとしておすすめなのがScene Liveの「OSORA」です。
インバウンド向けのコールセンターシステムで、自動応答のIVR機能を搭載しています。
着信があったら自動音声で1次対応できるため、業務効率化や工数の削減に貢献できます。
音声ガイダンスにしたがってプッシュ番号を操作すれば、担当部署への転送、問い合わせ内容への自動応答が可能です。
自動応答システムで業務を効率化したい場合には、ぜひ検討してください。
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