2024.10.09
コールセンターにおけるCRMとは?機能やツール比較も解説
コールセンターは顧客情報を収集し、顧客と企業を結ぶ架け橋です。
企業が顧客情報を把握することでニーズを理解し、顧客に最適な商品やサービスを開発・提供するのに役立ちます。
しかし、近年は電話やメール、Webサイトなど顧客からの問い合わせが多様化しています。
本記事では、顧客からの問い合わせを集約・管理するための重要な役割を担う「CRM」について解説していきます。
CRMを導入すれば、顧客管理だけでなくマーケティング手法の立案にも役立ちます。顧客満足度を向上させたいコールセンターの事業者様はぜひ最後までご一読ください。
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目次
コールセンターにおけるCRMとは?
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関連管理」と訳されます。
CRMを導入することで、一人ひとりの顧客のニーズを把握・管理が可能になり、それぞれの顧客に適したコミュニケーションができるようになりました。
また、企業のマーケティング戦略や具体的なプロモーションなどさまざまな目的で利用されています。
コールセンターにCRMを導入する背景
従来、企業と顧客の接点は店舗での直接の接客や電話でした。
しかし、近年はインターネットの普及により、コールセンターでの顧客対応もメールやSNS、チャット、Webサイトなどコミュニケーションが複雑化しています。
また、 SNSや口コミサイトの普及から、誰もが簡単に企業の商品やサービスのリアルな情報にアクセスしやすくなり、消費性向も多様化しました。
消費性向の変化に伴い、企業のマーケティング戦略も従来の大量生産・大量消費の「マスマーケティング」から顧客一人ひとりの属性、興味関心、行動履歴を基にマーケティング活動を行う「One to Oneマーケティング」が主流になりつつあります。
企業が顧客一人ひとりの関係性を強化し、サービス品質の向上を目指して提案を続けていくためには顧客情報を収集・管理するCRMの導入は必須と言っても決して大袈裟な表現ではありません。
コールセンターにCRMを導入するメリット
コールセンターにCRMを導入すれば、企業・オペレーター・顧客のそれぞれにメリットがあります。
ここからは、CRMを導入する代表的なメリットを6つご紹介します。
顧客対応が迅速にできる
CRMは、顧客情報を一元管理できます。
コールセンターに顧客から入電があった際に、顧客情報や過去の問い合わせ履歴をディスプレイに表示することで、オペレーターは対応履歴を見ながら顧客からの問い合わせにスムーズに対応可能です。CRMの中には、回答テンプレートやトークスクリプトを表示できる機能もあります。
オペレーターは対応終了後に、顧客との対話記録や報告内容をCRMに入力すれば、顧客一人ひとりに対応したトークマニュアルが完成します。
CRMが導入されていないと、過去に何度も問い合わせがあったにも関わらず、過去の経緯を最初から顧客からヒアリングしなければなりません。
何回も同じ話をさせられると顧客は不快になってしまいますし、オペレーター業務も非効率という悪循環に陥る可能性があります。
顧客の対応漏れが防止できる
対応ごとにタスクやステータス管理も可能で、コールセンターのみならず、営業担当者やその他の部門がCRMに登録した情報を閲覧・共有ができるため、対応漏れを解消できます。オペレーターは、顧客の経緯や現状をリアルタイムに正確に把握しながら適切な対応が可能です。
戦力になるオペレーターを育成できる
コールセンターのオペレーターは、膨大な商品やサービス内容の問い合わせだけでなく、修理・メンテナンスの相談や返品方法などを一手に担います。
さらに、オペレーターは顧客の状況やニーズを瞬時に汲み取り、状況に応じて柔軟に対応するスキルが必要です。
上記のようにオペレーター業務は多岐に渡るため、なかなか優秀な即戦力となるオペレーターが育成しにくいのが現状です。
しかし、CRMを活用すれば、顧客情報やトークスクリプトを常時参照しながら対応できます。
経験の浅いオペレーターでも冷静かつ適切に顧客対応が可能になります。
オペレーターの心理的負担を軽減できる
コールセンターのオペレーターは、クレーマーから理不尽な罵声を浴びせられたり、いきなり八つ当たりされたりする場合もあります。
さらに、少しでもオペレーターの対応に落ち度があれば、すぐにSNSで拡散されるなどオペレーターの心理的負担は計り知れません。
CRMを導入すれば、クレーマーからの入電かどうか一目でわかります。
オペレーターは過去の対応履歴を参考にしながら対応できたり、管理者がオペレーターに代わって対応したりとクレーマー対策が可能です。クレーマーの応対時間が短縮されれば、オペレーターの業務ストレスを軽減することも期待できます。
顧客情報や購買履歴を部署内で共有できる
顧客がコールセンターに電話で問い合わせをするのは、早く疑問や悩みを解決したいからです。
オペレーターのスキル不足で対応が遅くなり顧客が長時間待たされたり、さまざまな部署にたらい回しになったりすると自社に対して不信感を与えてしまう恐れがあります。
企業と顧客との信頼感が薄まると、顧客満足度の低下を招いてしまうかもしれません。
顧客への対応は、正確かつスピーディーさが求められます。
CRMを活用すれば、 顧客情報や購買履歴を集中管理できるので、コールセンターのみならず他の部署内でも情報を瞬時に共有できます。
また、コールセンターに寄せられたクレームや問い合わせを営業担当者と共有しながら顧客対応に当たれるため、顧客対応にも一貫性を維持できます。
商品やサービスの改善に繋げることができる
コールセンターに寄せられる顧客の質問や意見は、企業にとってかけがえのないデータです。
顧客からのリアルな声は、既存の商品やサービスの改善や更なる新しい商品やサービスの開発に繋がる貴重なヒントが詰まっています。
しかし、顧客からの声が膨大になれば人的な分析は難しくなります。
ほとんどのCRMは、分析機能やレポーティング機能が搭載または分析ツールとの連携が可能です。
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コールセンターにCRMシステムを導入するデメリット
コールセンターにCRMを導入すれば、企業・オペレーター・顧客にとってメリットが多いですが、残念ながらデメリットもあります。
ここからは、コールセンターにCRMを導入すると起こり得るデメリットを2つご紹介します。
導入に時間がかかる
コールセンターシステムには、オンプレミス型とクラウド型があります。
オンプレミス型とは、自社で保有するサーバーにCRMを導入する種類です。
自社のサービスや業務に合わせてシステムを拡張できるメリットがある一方で、開発に時間がかかるため多くの時間を要します。
反対にクラウド型とは、インターネット上で提供されたソフトウェアを利用してCRMを導入する種類です。
クラウド型の場合、CRMを導入の際に必要なものはインターネット環境のみ。
インターネット環境さえ整っていれば、場所を選ばずにどこでも導入が可能です。
外部のサーバーを利用するため、自社でサーバーを準備する必要がなくオンプレミス型よりも導入までに時間がかかりません。
どちらのタイプを導入するにしても、あらかじめ導入のステップやフローを確認して、導入してからいつ運用を開始できるのかを把握することをおすすめします。
高額な費用が発生する可能性がある
CRMは、オンプレミス型かクラウド型かどちらの種類を選ぶかによって導入費用や月々のランニングコストが異なります。
また、自社に最適な顧客管理システムにカスタマイズ、オペレーターなどの利用人数(規模)の変動も、費用が追加で発生する要因のひとつです。
コールセンター運営に関する予算を事前にいくらか把握し、自社のコールセンターにあったCRMシステムを選定しましょう。
コールセンターにおけるCRMの主な機能とは?
ここからは、コールセンターで役に立つCRMの主な機能をご紹介します。
顧客情報と対応履歴の管理機能
CRMには以下のような機能が搭載されており、 顧客一人ひとりの情報や対応履歴を管理できます。
- 顧客の個人情報(氏名・住所・電話番号・年齢・メールアドレス)などの基本情報
- 顧客の購買履歴(購買済みの商品やサービス・契約状況・購買日・購買金額・購買頻度)
- 過去の問い合わせ履歴・やり取りの内容
顧客分析・マーケティング支援
CRMの活用により集計・構築された顧客に関するデータベースは、 自社の顧客属性を緻密に分析したり、次なるマーケティング戦略を立案したりと活用できます。
情報共有機能
従来は、書類での顧客情報の提出や手動でデータ更新をしていました。
CRMを導入すれば、 顧客情報をコールセンターや社内全体で常にアップデート・共有できます。
また、テレワーク中や外での営業中でも顧客情報のフィードバックを受けられます。
さらに、CRMの中にはslackやchartwork、Excelなどのビジネスツールとの連携も可能です。
社内全体で情報を共有したり、外部サービスと連携できたりすれば、一から情報を探す時間や手間を大幅に削減できるメリットがあります。
問い合わせ管理
CRMは、顧客情報や対応履歴を管理できると同時に、 「資料送付が必要な顧客」や「再対応が必要な顧客」のように、問い合わせから対応完了するまでの対応ステータスを追加することが可能です。
ステータスを追加することで、他の部署へ問い合わせ対応を依頼する際もスムーズに引継ぎができたり、顧客への対応漏れを防げたりと業務効率化が期待できます。
通話履歴連携
顧客との通話終了後に通話ログや録音ファイルをCRMの対応履歴へ自動的に記録することも可能です。対応履歴と通話録音ファイルを一元管理できれば、オペレーターの作業効率の向上や余裕を持って顧客一人ひとりに対応できるため顧客満足度アップ効果も期待できます。
CTI連携機能
CTIは、コンピューターと電話・FAXを連携させるシステムです。
CRMは顧客情報を管理し応対品質や顧客満足度の向上を目指すのに対して、CTIは業務効率化やコスト削減を目的とします。つまり、CTIと連携することでコールセンターの運用に関して相乗効果をもたらすでしょう。
CRMとCTIの連携により、運用が円滑になる代表的な機能を2つご紹介します。
- 着信ポップアップ:受電した際に顧客情報を自動検索し、オペレーターのディスプレイに表示
- クリックtoコール:電話番号をワンクリックすれば、電話番号を入力せずとも顧客に架電が可能
CRMとCTIを連携させよう
電話業務の効率化を追求するだけでは、顧客一人ひとりが満足する電話対応は厳しいでしょう。
オペレーターが顧客情報やこれまでの購買履歴など把握しながら顧客対応すれば、顧客からの高い信頼を獲得できます。
そして、顧客はリピーターとなり結果的にロイヤルカスタマーとなることが期待できます。
景気低迷などで国内消費が縮小している昨今、企業にとって「いかにロイヤルカスタマーを獲得するか」が重要な課題です。
CRMとCTIの連携が顧客満足度の向上とロイヤルカスタマーの獲得に関して重要な役割を担っていると言っても過言ではありません。コールセンターにCRMを導入する際の4つの比較ポイント
CRMを搭載したコールセンターシステムは無数にあります。
ここからは、コールセンターにCRMを導入する際に比較してほしい4つのポイントをご紹介します。
操作の利便性
CRMは、多くの社員が日常的に利用するシステムなので、誰もが操作しやすくて使いやすいものが良いでしょう。
オペレーターは、顧客と通話しながら画面を操作するため、入力の簡便さや必要な項目にアクセスしやすさなどは重要です。CRMを導入する前に、トライアル期間などを利用して実際にオペレーターに画面を操作してもらい意見を集めるのもおすすめです。
対応チャネルの幅広さ
対応チャネルとは、顧客との接点(タッチポイント)を指します。
店舗や電話、メール、Webサイト、SNS、チャット、アプリなどが例として挙げられます。
顧客の信頼を失うリスクがあるため、対応チャネルが複数あるかは確認しましょう。
既存のシステムと連携可能
既存のシステムとの連携や自社の問題を解決するシステムをカスタマイズ可能かどうかも導入前に確認しましょう。
例えば、SFAとの連携もおすすめです。
SFAは、企業の営業活動の生産性を向上・改善させるために営業担当者をサポートするシステムです。
営業業務の効果を高めるためには顧客情報が欠かせません。
CRMとSFAが連携すれば、顧客情報を基に見込み客の購買データや潜在的なニーズが可視化でき、営業効率が格段に上がる効果が見込まれます。SFAについてさらに詳しく知りたい方は、「SFAとは何?CRMとの違いやメリット・注意点を解説」を併せてご覧ください。
セキュリティの安全性
大事な顧客情報を扱うため、セキュリティの安全性は非常に重要です。
顧客情報や機密事項の漏洩・流出は、企業の存続を揺るがしかねない大打撃となる恐れがあります。ネットワークの暗号化やIPアドレスやユーザー権限別のアクセス制限やアクセスログ管理など、セキュリティ対策がしっかりしているシステムを選びましょう。
またトラブルがあった際に、24時間体制で迅速に対応してくれるサポートがあるシステムを選ぶことも大切です。
コールセンターにおすすめのCRMシステム8選
ここからは、コールセンターにおすすめのCRMシステムをご紹介します。
OSORA
引用:OSORA
OSORAは、株式会社Scene-Liveが提供するクラウド型のインバウンド型コールシステムです。
過去の音声データのダウンロードもできる録音機能やCTIと連携できるためポップアップ機能を搭載しています。
通話分析機能も搭載しており、発信数や通話時間、応答率などコールセンターの業務効率を上げるために必須な分析データをワンクリックで閲覧も可能です。
さらに、「OSORA」は機密性が高く、SSL/TLSを使用して全通信のデータを暗号化しています。
システムの操作はもちろん運用方法の相談にも応じてくれるので、CRMの導入が初めての企業でも安心して導入できるのでおすすめです。List Navigator.
引用:List Navigator.
List Navigator.は、株式会社Scene-Liveが提供するクラウド型のアウトバウンド型コールシステムです。
顧客情報に基づいた架電リストの中から複数の番号に同時発信し、繋がった番号をオペレーターに繋ぐプレディクティブ発信機能がプリセットされています。
また、平均後処理時間や離席時間など通話履歴だけでは計測できないオペレーターの稼働状況を一目で把握できます。
全オペレーターの稼働状況が可視化できるので、オペレーターの応対品質の向上にも役立ちます。ServiceCloud
引用:ServiceCloud
Service Cloudは、株式会社Salesforceが提供するクラウド型のコールセンター向けのシステムです。
世界中で支持されているSalesforce社の製品で、顧客一人ひとりの理解に基づくカスタマーエクスペリエンス(CX)向上を実現します。
あらゆるチャネルでの問い合わせを時系列での表示が可能です。
顧客履歴の管理からチャット、タスク管理、分析機能まで顧客対応に関する機能を一通り備えたバランスの良いシステムです。楽テル
引用:楽テル
楽テルは株式会社ラクスが提供するコールセンター向けのクラウド型のCRMシステムです。
CTIシステムとのシームレスな連携ができ、着信と同時に顧客情報を自動的に表示し、CRMの操作画面からの架電も可能です。
コールセンター業務に特化した豊富なテンプレートが初期搭載されているのが特徴。
あらゆる顧客情報の集計や入力画面もマウスの操作で可能で、報告書などが簡単に作成できるのも人気の理由です。InfiniTalk
引用:InfiniTalk
InfiniTalkは、ジェイエムエス・ユナイテッド株式会社(JMS)が提供するCRM機能とCTI機能を搭載したコールセンターシステムです。
専門知識やスキルがなくても、誰でも直感的に使用できるインターフェースが特徴。
zendesk
引用:zendesk
Zendeskは、アメリカ企業のZendeskが提供するクラウド型コールセンターシステムです。
世界で10万社以上の導入実績を誇っています。
チャットやメール、SNSなどの多くのチャネルに対応しており、全ての顧客情報を一元管理する問い合わせ機能が充実しています。
多言語対応ができるAI搭載のボット「Answer Bot」を利用すれば、問い合わせにも24時間対応可能で、必要に応じてオペレーターに対応を引き継ぐこともできます。COLLABOS CRM
引用:COLLABOS CRM
COLLABOS CRMは、株式会社コラボスが提供するクラウド型のコールセンター向けのCRMシステムです。
電話やメールだけでなくLINEでの対応も可能です。
チャットや画像を使えば、会話よりもスムーズに情報を共有できるため、作業効率の向上が期待できます。
Kintone
引用:Kintone
Kintoneはサイボウズ株式会社が提供する顧客管理システムです。
さらに、リマインド通知機能など生産性を高める機能を多数搭載されているのも魅力です。
まとめ コールセンターにCRMシステムを導入すれば、顧客満足度の向上が期待できる
CRMをコールセンターに導入すれば、顧客情報を社内で一元管理することが可能です。
また、顧客対応の分析から自社の商品やサービス品質の向上効果も見込めるでしょう。
近年は、一人ひとりの顧客に寄り添った対応が企業には求められています。
CRMを導入して、よりよいサービスを顧客に提供しましょう。
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