2024.08.09
ボイスボットとは?コールセンターで導入するメリットや事例を解説
コールセンターの生産性を上げるためには、オペレーターの業務を自動化する「ボイスボット」の導入が有効です。ボイスボットは、音声システムの一つですが、他のシステムとの違いを正しく理解していない人もいます。
本記事では、ボイスボットの概要、メリット・デメリットについて解説した上で、システムを比較する際のポイントなどについても紹介します。ボイスボットを導入してコールセンターの生産性を上げたいと考えている人は、ぜひご覧ください。
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目次
ボイスボットとは
「ボイスボット」とは、電話の応答を自動化する音声システムのことで、「ボイス」と「ロボット」を組み合わせた用語です。ボイスボットは、AIの技術を用いたシステムが顧客の質問内容を理解し、適切な回答を行います。システムを提供する代表的な会社は、「AIシフト」です。ボイスボットを導入すれば、コールセンター業務の自動化が実現します。人が不要となるため、24時間対応も可能です。
ボイスボットは、スマートフォンに実装されている「AIスピーカー」をイメージすると良いでしょう。利用者には、合成音声が聞こえ、人間と会話する感覚に近くなります。文章を読み上げる機能に特化した「ボット」もあり、チャットツールである「ディスコード」などでも使用されます。電話の応答を自動化するシステムには、ボイスボットの他に「IVR(自動音声応答システム)」や「チャットボット」などがあります。
ボイスボットとIVRの違い
ボイスボットでは応答が自動化されていますが、IVRではオペレーターが応答するといった点に違いがあります。IVRとは、「Interactive Voice Response」の略称です。
顧客が音声ガイダンスに基づいて番号を入力することで、担当のオペレーターにつながるといったシステムです。「××に関するお問い合わせは○番を、それ以外は△番を押してください」といった音声が流れるのがIVRです。顧客の要望に応じて、適切な部署のオペレーターに速やかにつなげることができます。
ボイスボットとチャットボットの違い
「チャットボット」とは、顧客からの問い合わせに短い文章(チャット)で応答するシステムです。ボイスボットとチャットボットは、顧客とのコミュニケーションの手段に違いがあります。
ボイスボットは音声で応答する一方、チャットボットはテキストで応答します。チャットボットには、2種類あります。1つ目は「シナリオ型」と呼ばれ、顧客の選択肢に応じた回答を提示するものです。2つ目は「人工知能型」で、蓄積された会話を分析し、より精度の高い応答を実現できます。
コールセンターにボイスボットを導入するメリット
コールセンターにボイスボットを導入するメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- 業務効率化
- 平均通話時間(ATT)の短縮化
- シナリオを更新しやすい
- 機械学習で精度が上げられる
顧客の満足度を上げるだけではなく、従業員の満足度を上げる効果も期待できます。
業務効率化
ボイスボットを導入すると、オペレーターの負担を減らせるため、業務効率が上がります。例えば、電話のかかってくる件数少ない夜間など、オペレーターの人数を減らしたい時間帯に導入すると効果的です。また、忙しい時間に導入すれば、不足するオペレーターの処理能力を補う効果が期待できます。
ボイスボットのみで解決できる問い合わせであれば、オペレーターに接続することも不要です。コールセンターには、複数の顧客から似たような質問が寄せられるため、重複する質問に対してはボイスボットで回答することができれば、さらなる業務の効率化につながります。
平均通話時間(ATT)の短縮化
ボイスボットは、平均通話時間(ATT)の短縮にも効果があります。「ATT」とは、「Average Talk Time」の略称です。短縮できる理由は、従来であれば人が対応すべき業務をボイスボットに任せることができるからです。例えば、オペレーターが通話する前に、ボイスボットが顧客の住所や会員番号を確認すれば、オペレーターの対応すべき時間が短くなります。
シナリオを更新しやすい
シナリオを更新しやすい点も、ボイスボットのメリットであるといえます。音声ガイダンスに基づいて番号を入力するIVRは、シナリオを変更する際に全体の分岐を見直す必要があるため、労力がかかります。分岐の数が多いと、顧客の解決したい悩みになかなかたどり着けず、離脱する原因となります。
一方、ボイスボットは、顧客の問い合わせに対して回答するため、シナリオの変更が容易です。ボイスボットの回答が不自然であれば、より分かりやすい表現に手直しすることもできます。また、シナリオの更新が容易なので、緊急時やキャンペーンにも速やかに対応することができます。
機械学習で精度が上げられる
ボイスボットは、機械学習の技術を採用しているため、音声認識と回答の精度を上げられる点がメリットです。過去に蓄積した会話の情報を分析するので、情報量が増えれば増えるほど、精度を高めることができます。過去にうまく回答できなかった問い合わせに対しても、自ら学習して答えられるようになります。
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コールセンターにボイスボットを導入するデメリット
一方、ボイスボットを導入するデメリットとしては、以下のような例が挙げられます。
- IVRと比べた際に精度が落ちる
- 周囲の騒音や顧客の話し方により、ボイスボットが問い合わせ内容を把握できないことがあります。番号で入力するIVRに比べると、精度が低いといえます。
- 音声だけでのコミュニケーションは難しい
- ボイスボットは、図表や動画の説明をするのが難しいです。したがって、短い文章で回答できる質問に適しています。
ボイスボットのデメリットを踏まえると、回答が容易である顧客情報の確認などをボイスボットにさせてから、オペレーターにつなげるといった運用も良いでしょう。
ボイスボットシステムを比較する際のポイント
ボイスボットのシステムを比較するポイントとしては、以下の2つが挙げられます。
- 自社で運用改善を行うか
- 利用目的で決める
自社にボイスボットの導入を検討する際には、これらの点を押さえておくと良いでしょう。
自社で運用改善を行うか
1つ目のポイントは、ボイスボットの運用を他社に任せるか、あるいは自社で行うかについて比較することです。一部のボイスボットは、改善する際に専門知識が必要になるため、自社に専門知識を持つ人材がいない場合は、シナリオを変更するのが容易なシステムを選ぶと良いでしょう。具体的には、管理画面を操作するだけで変更できるといったシステムが向いています。
利用目的で決める
2つ目のポイントは、ボイスボットを導入する目的に合ったシステムを選ぶことです。主な目的は、「人件費の削減」と「生産性の向上」の2つです。人件費の削減は、ボイスボットにオペレーターの業務の一部を任せ、オペレーターの数を減らすことで実現することができます。また、生産性の向上は、人でなくても対応できる顧客情報の確認などをボイスボットが担い、平均通話時間を短くすることで達成できます。導入するボイスボットの機能は、どちらの目的を果たすのに効果的なのかを考えると良いでしょう。
コールセンターにおけるボイスボットの導入事例
ボイスボットを導入し、業務の生産性の向上に成功した事例について、3つ紹介します。
- 企業A
- レジャー業界の企業Aでは、予約の受付業務にボイスボットを導入しました。コロナ禍を背景に需要が高まる中、電話がつながらず、予約の取れない機会損失を回避することに成功しました。
- 企業B
- 運送業界の企業Bでは、集荷の受付にボイスボットを導入し、コールセンターの業務を自動化しました。
- 企業C
- 通信業界の企業Cでは、電力の供給サービスの受付業務にボイスボットを導入しました。件数ベースで50%以上の応対を自動化しました。
まとめ
ボイスボットとは、電話の応答を自動化する音声システムの一つです。コールセンターにボイスボットを導入すれば、業務効率化などのメリットが期待できます。導入を検討する際には、「自社で運用するのか」「利用目的は何か」などについて整理すると良いでしょう。コールセンターの業務効率を上げたい人は、ぜひ導入をご検討してみてはいかがでしょうか。
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