2024.09.11
プル型営業のメリット・デメリット| プッシュ型との違いも解説
「営業」というと、飛び込み営業やテレアポのような積極的に売り込む活動をイメージされる方も多いでしょう。
そうした営業手法は「プッシュ型営業」と呼ばれる方法ですが、近年では顧客を引き込む「プル型営業」に注目が集まっています。
プル型営業とはどのような手法なのでしょうか。
本記事では、プル型営業とプッシュ型営業との違い、メリット・デメリット、具体的な手法について解説します。
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目次
プル型営業とは
プル型営業とは、顧客側から問い合わせや資料ダウンロードなどの行動をしてもらうよう促して得られた情報をもとに営業をかけていく顧客獲得手法です。
プル型営業の「pull」とは「引く」「引き寄せる」という意味の英語で、ユーザーを企業側へと引き寄せていく営業活動を指します。
「インバウンド型営業」や「インバウンドセールス」とも呼ばれ、近年注目されている営業手法です。
畑を耕すように中長期的な施策を実施することから「農耕型営業」とも呼ばれます。
顧客からのアクションを促し潜在的にニーズのある顧客にアプローチできる手法 であるため、効率的なマーケティング・営業活動ができます。プル型営業が注目される理由
近年はとくにプル型営業が注目されています。
プル型営業が注目される理由としては、以下の事柄が挙げられます。
- インターネット・SNSの普及による顧客行動の変化
- 営業活動のさらなる効率化が求められている
詳しく説明します。
インターネット・SNSの普及による顧客行動の変化
プル型営業が注目される理由の1つ目は、インターネット・SNSの普及による顧客行動の変化があります。
インターネットやSNSの利用が当たり前になった現在、消費者の購買行動が大きく変化しています。
かつて消費者が商品の詳細情報を収集するには、実際に店舗に行って現物を見る、店員の説明を聞く、カタログを取り寄せるなどが中心でした。
今では 消費者がWebで商品情報を収集し、複数サイトを閲覧して価格を比較し、SNSで評価を確認して購買行動を取る流れ になっています。
これはBtoC市場だけでなく、BtoB市場においても顕著になっている購買行動の変化です。
購買行動の変化とそれにともなう営業の業務負荷の増加に対応するためにも、プル型営業がより求められるようになっています。
営業活動のさらなる効率化が求められている
プル型営業が注目される理由の2つ目は、営業活動のさらなる効率化が求められている点です。
「足で稼ぐ」ことを是とする旧来の営業スタイルでは、担当者の個人的な営業スキルに依存することが多く、業務の属人化が避けられない側面がありました。
営業業務の効率化、つまりプロセスの定量的な把握、顧客情報やノウハウの共有化などを図るには、営業フローのDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められます。
営業フローのDXと相性がいいのがプル型営業です。
WebやSNSなどを駆使してシステムを構築することで、営業担当の属人性に頼らないプロセスの定量的な把握、顧客情報やノウハウの共有化が可能 になります。また、最近の人手不足の傾向も、営業活動の効率化に拍車をかけています。
営業の世界では人材の確保は年々厳しさを増しており、営業分野における業務効率化とともに「働き方改革」の推進は課題となり続けているのです。
働く人の事情に合わせて、多様な働き方を選択できるようになるためにも、プル型営業による営業活動の効率化が進められています。
プル型営業とプッシュ型営業の違い
プル型営業の対義語にプッシュ型営業があります。
プル型営業とプッシュ型営業の違いは何なのかを見ていきましょう。
プッシュ型営業とは
プッシュ型営業とは、企業側が顧客に対して能動的にアプローチをかけ、成約へとつなげる営業手法です。
英語の「push」は「押す」という意味で、企業側から顧客側に自社の製品・サービスを積極的に売り込む方法といえます。
別名「アウトバウンド型営業」「狩猟型営業」とも呼ばれます。
具体的な手法としては、テレアポ、飛び込み営業、ダイレクトメール送付などが代表的です。
プッシュ型営業のメリットは、 確度が高いと思われる顧客にターゲットを絞って注力すれば大きな実績につながる点 が挙げられます。
また、企業側から能動的に情報発信するので、リリースしたての製品・サービスでも知名度を上げる効果が見込めます。
プッシュ型営業のデメリットは、マーケティング・営業活動の非効率性です。
テレアポ、飛び込み営業などのプッシュ型営業は、営業担当の属人性に頼るところが大きい性質があります。
成績の良い営業担当が部署を牽引していたものの、その担当の突然の異動・退職で業務が回らなくなるという事態が起こりがちなのです。
プル型営業とプッシュ型営業の違い一覧
プル型営業とプッシュ型営業の違いを一覧にまとめると、以下のようになります。
プル型営業 | プッシュ型営業 | |
---|---|---|
営業の対象 | アクションを起こした顧客 | 企業が決めたターゲット |
営業のタイミング | 顧客が決める | 自社で決める |
効果が出るまでの時間 | 長い | 短い |
主な手法 | メルマガ、セミナー | テレアポ、飛び込み営業 |
プル型営業のメリット
プル型営業のメリットの代表的なものには以下があります。
- アポイント獲得率・成約率が高い
- 興味・関心の高い顧客との接点ができる
- 信頼関係が構築できる
- 効率的な営業活動ができる
それぞれ詳しく解説します。
アポイント獲得率・成約率が高い
プッシュ型営業の場合、自社の製品やサービスを認知していない顧客に対して、製品・サービスを説明し、メリットを感じてもらうという工程が必ず入ります。
この工程が困難であり、営業担当にも大きな負担となる部分です。
プル型営業の場合には、 顧客側のリアクションが前提にあるため、自社の製品・サービスを認知してもらっている状態から営業がスタート します。
そのため、プッシュ型営業と比較して顧客のアポイント獲得率が高くなり、商談につながりやすくなります。
問い合わせフォームへの記載やアンケートへの返答など顧客のリアクションによって、顧客が抱える悩みや課題を事前に把握することができるため、売り手側の提案も相手のニーズに寄り添った具体的なものになります。
おのずと成約という形に結びつきやすくなり、成約率は高くなるのです。
興味・関心の高い顧客との接点ができる
反応のあった顧客とのやりとりの末、 結果として商談にまで至らなかったり、商談まで進みながらも成約まで至らなかったりしたとしても、自社製品・サービスへの興味・関心の高い顧客層を獲得できる メリットがあります。
プル型営業で接点を持つ顧客層は、将来的に購買につながる可能性の高い見込み顧客が中心となるため、都度の商談で成果を焦らなくてよく、中長期的な視点でのアプローチが可能です。
信頼関係が構築できる
飛び込み営業などに代表されるプッシュ型営業では、成約までいけばその顧客との関係が構築できますが、失敗すると「貴重な業務時間を削られた」「業務の邪魔をされた」というマイナスの感情を抱かれることも少なくありません。
プル型営業では、顧客層が自社製品・サービスへの興味・関心の高いため、アポイントや商談、 成約まで至らないケースでも顧客層との接点ができ、その後の信頼関係が構築 できます。
プル型営業は結果を急ぐものではなく、顧客主体で情報提供を継続する手法であるため、顧客と良好な関係を構築しやすい点が大きなメリットです。
効率的な営業活動ができる
テレアポや飛び込み営業などのプッシュ型営業の場合、ターゲットは自社の製品・サービスを購入する見込みがない対象も含まれるため、見込みがない顧客にも経営資源を割かなければなりません。
その点、プル型営業の場合には、ある程度自社製品・サービスへの興味・関心の高い相手にアプローチをかけます。
そのため、 無駄な経営資源を割く場面が減り、営業にかけたコストに対するリターンが大きい効率的な営業フローとなるのが特徴 です。
また、プル型営業では仕組みさえ構築できれば、長期間かつ広範囲に効果が継続するメリットがあります。
最初の仕組み化に費用と時間がかかるものの、構築した後は効果が継続するため、長期的に見ると費用対効果が高いといえます。
プル型営業の仕組み化では、営業プロセスが定量的に把握されるとともに、顧客情報やノウハウの共有化、業務の効率化、人材の育成などが実現できます
営業プロセスのPDCAサイクルも回しやすく、効率的な営業活動となるでしょう。
プル型営業のデメリット
一方、プル型営業のデメリットとしては、以下のような点が挙げられます
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 提案の自由度が低い
それぞれ詳しく解説します。
成果が出るまでに時間がかかる
プル型営業は一般的に、中長期的な施策になるため、成果が出るまでのタイムラグがデメリットと考えられます。
プル型営業は 顧客が自発的に行動を起こすので、興味・関心を持つようになるまでには一定の時間が必要 です。
後述するように、プル型営業ではオウンドメディアやメールマガジン、SNS、セミナーを活用します。
例えば、Webの記事やSNSの動画を公開しても、すぐに多くの人に見てもらえるわけではありません。
GoogleやYahoo!JAPANなど検索エンジンでの順位が上がるまでには、数ヶ月以上かかることもあります。
SNSでフォロワー数を増やすのにも時間がかかります。
顧客が提供されたコンテンツを読み、リアクションを起こすまでにはさらに時間がかかるでしょう。
短期的な結果を求める場合には、プル型営業は不向きです。
プル型営業では、成果が出るまでに少なくとも数ヶ月から数年を見込んで準備しなければなりません。
提案の自由度が低い
プル型営業では、顧客が自分のニーズを理解している場合がほとんどです。
それがメリットでもありますが、営業活動にとってデメリットになる側面もあります。
顧客が顕在ニーズを有していると、 プッシュ型営業よりも提案の自由度が低くなる のです。
顧客によっては、どの製品をどのように利用したいかまで決めているケースもあり、売り手側から提案しにくい場面もあります。
顧客がこだわっている製品が、利益率が低くあまり売りたくない製品であるケースもあるでしょう。
月間営業目標として推している製品ではないケースも考えられます。
また、顧客が製品・サービスについて誤解していて、顧客が購入希望している製品・サービスが必ずしも顧客の悩みや課題の解決に結びつかないこともありえます。
そのような場合には、製品・サービスに関する情報を丁寧に説明し、顧客ニーズのヒアリングを重ね、あらためて提案を行う必要があります。
顧客の求めへの応答を前提とする商談になりがちな点は、プル型営業のデメリットといえるでしょう。
プル型営業の具体的な手法
プル型営業の具体的な手法としては以下のものが代表的です。
- オウンドメディア
- メールマガジン
- SNS
- セミナー(ウェビナー)
それぞれ順番に解説します。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、主に企業が自社保有するWebメディアです。
自社の製品・サービスとは直接関係ないものの関連する情報や困りごとを解決できるコンテンツを発信することで、自社サイトへの良質な見込み顧客の誘引が可能になります。
また、 オウンドメディアでは情報・コンテンツを「デジタル資産」としてストックできますので、長期にわたって検索エンジンなどからの訪問が可能な集客システム に育てられます。
メールマガジン
メールアドレスを取得した顧客に対して、定期的にメールマガジンを発行し、顧客の購買意欲を高める手法です。
オウンドメディアに掲載されている資料をダウンロードする際、メールアドレスを入力してもらう仕組みにしておけば、メールマガジン営業は自動的に継続できます。
チャットツールが普及している現在でも、 メールによるコミュニケーションは新規営業や顧客接点維持に有効 です。
企業担当者は届いたメールに一通り目を通すため、メールマガジン配信によって関心を継続させられます。
メールマガジンで情報提供を続けていれば、自社製品・サービスが必要になったときに思い出してもらえる可能性が高まるでしょう。
SNS
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、YouTube、TikTokなどのSNSラットフォームを活用して、消費者とコミュニケーションをとり、自社製品・サービスを広く認知してもらう手法です。
近年では、 スマートフォンの保有率が上昇するとともに、モバイル端末を使ったSNSの利用率も向上 しています。
SNS利用者層の拡大によって、各企業は積極的にSNSマーケティングに乗り出すようになっているのです。
SNSでは、文字情報による情報提供だけでなく、映像・音声を駆使したビジュアルマーケティングも得意です。
ショート動画コンテンツは視覚的な訴求力が高く、圧倒的な拡散力を持っています。
アカウントを取得してのコンテンツ提供・運用だけでなく、各種SNSプラットフォームへの広告出稿も有効です。
セミナー(ウェビナー)
セミナー開催は、メリットの多い営業手法です。
セミナー参加者は、自社の製品・サービスへの興味を持っている可能性が高いため、参加者を新たな見込み顧客として獲得できます。
企業はセミナー開催を通じて、自社の製品知識・業界の最新情報など参加者にとって有益な情報を提供し、参加者からのさらなる信頼感を得ます。
これにより、将来的な顧客につながる可能性が高まります。
また、セミナーでは参加者と直接対話する機会があり、 顧客の悩みや抱えている課題を直接把握 することができます。
こうした顧客情報は、製品・サービスの改善を図るためのフィードバックとしても有効です。
顧客とリアルに対面するセミナーとWebで完結するウェビナーがあります。
プル型営業とプッシュ型営業の組み合わせで売上を高めよう
プル型営業は中長期的な施策が必要になるため、成果が出るまで時間がかかる営業手法です。
また、継続的に顧客を集めることのできるシステムを構築するには、費用と時間がかかるのも意識しなくてはいけません。
プル型営業と併せてテレアポなどのプッシュ型営業も取り入れると、営業効率をより向上させられる でしょう。効率的なマーケティング・営業活動を行うには、ITツールの有効活用が必要です。
CTI(Computer Telephony Integration)ツールの「List Navigator.」を導入すると、コールセンター業務・テレアポ業務の生産性を向上させ、潜在顧客の獲得に寄与します。また、アウトバウンドコールでの営業に関して、パフォーマンスの高いトークとそうでないトークを音声解析し比較するなど、成果の高いトークを明確にできます。
List Navigator.はクラウド型なので、インターネット環境さえ用意できれば導入が可能です。
導入を検討される事業者さまは、お気軽にご相談ください。
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