2024.09.11
インバウンドとアウトバウンドのコールセンター|違いを解説
企業が顧客とつながる窓口として設置するコールセンターには、大きく分けてインバウンドとアウトバウンドの2種類があります。
主に電話を受信するインバウンドと発信業務がメインのアウトバウンドでは、業務の内容や求められるスキルが異なります。インバウンドとアウトバウンドの違いを理解することは、コールセンターを運営するうえで欠かせません。
本記事では、インバウンドとアウトバウンドの違いについて解説します。
それぞれの業態にありがちな課題や、解決方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
【基礎知識】インバウンドとアウトバウンドの違い
同じコールセンターでも、インバウンドとアウトバウンドでは業務が大きく異なります。
本章であらためて定義を確認しましょう。
インバウンドとは
コールセンターにおけるインバウンドは、主に電話の受信業務を意味します。
質問やクレームのような各種問い合わせ・商品やサービスの注文・資料請求など、顧客からくるさまざまな架電に対応することがインバウンドコールセンターの業務です。
「お客様相談室」や「カスタマーセンター」はインバウンドコールセンターの代表例であり、業界・業種を問わずさまざまな企業が設置しています。性質上、インバウンドコールセンターは必ずしも売上に直結する部署になるわけではありません。
企業によっては、売上の獲得よりも顧客満足度の向上やアフターサービスの充実のためにコールセンターを設置している場合があります。
アウトバウンドとは
コールセンターにおけるアウトバウンドは、電話の発信業務を意味します。
オペレーターが既存顧客、あるいは新規顧客に架電し、 商品やサービスの勧誘をしたり、アポイントメントを獲得したりすることが、一般的なアウトバウンドコールセンターの業務です。
営業活動を主軸としているアウトバウンドコールセンターの業務は、一般的に電話営業・テレアポ・テレマと呼ばれます。
なお、督促や市場調査・世論調査のような非営業活動を行うコールセンターも、アウトバウンド型に該当する場合があります。
コールセンターにおけるインバウンドとアウトバウンドの違い
インバウンドとアウトバウンドは、「架電を受けるか」「架電をするか」が最大の違いです。
インバウンドのコールセンターで対応する顧客は、すでに質問や注文など、架電する明確な目的を持っています。
顧客の要望に対し、適切に対応することがインバウンドのコールセンターの役割です。
対して、アウトバウンドのコールセンターでは、企業と接点がない顧客への架電は珍しくありません。
場合によっては、顧客が望まないタイミングで架電することもあります。
そのため、顧客の反応に注意しつつ、適切なアプローチで業務を遂行していくことがアウトバウンドのコールセンターの役割です。
このように、 「架電を受ける・する」の違いで両者の役割は大きく異なります。
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インバウンドのコールセンターの業務
本章では、インバウンドのコールセンターで行われる業務について解説します。
インバウンドのコールセンターの代表的な業務は以下のようなものがあります。
- 問い合わせへの取り次ぎ
- カスタマーサポート
- ヘルプデスク
- クレーム対応
売上に直結する場面は少ないものの、いずれも重要な業務です。
問い合わせへの取り次ぎ
注文や担当者への連絡など、顧客からの問い合わせを取り次ぐことは、インバウンドのコールセンターにおいて基本的な業務の1つです。
企業の総合窓口としてコールセンターが設置されている場合、顧客だけでなく取引先のような関係者からの連絡も取り次ぎます。
問い合わせへの取り次ぎは、 顧客をスムーズに他部署に接続し、担当者の負担を減らすうえで欠かせません。
もちろん、顧客の要望への適切な対応も重要です。
カスタマーサポート
カスタマーサポートは顧客からの質問や要望に対応する業務です。
商品やサービスに対する率直な意見や素朴な質問に応え、顧客の課題解決に貢献することがカスタマーサポートの役目です。場合によっては購入のサポートや退会手続きの説明など、顧客を直接サポートする場面もあります。
オペレーターの対応によって企業のイメージや信頼度が左右するため、重要度が高い業務です。
ヘルプデスク
ヘルプデスクとは、製品やサービスの不明点や使用方法を説明する業務で、インバウンドのコールセンターに多く見られます。
ヘルプデスクの対応は顧客満足度に直結するため、顧客への丁寧な対応や商品・サービスへの理解力が不可欠です。適切な対応ができなければ、顧客に不信感を与えかねません。
昨今は、メールやチャットなどでサポートを依頼できる体制を整えている企業が増加しています。
そのため、オペレーターは複数のチャネルでスピーディーに対応できるスキルが求められます。
クレーム対応
クレーム対応はカスタマーサポートやヘルプデスクに近い業務ですが、インバウンドのコールセンターにおいて特にハードな業務です。
クレーム対応では有意義な意見を得られることもありますが、顧客によっては理不尽な要求をしてくる場面も少なくありません。
対応を誤ると事態が悪化する可能性があるため、オペレーターには慎重な対応が求められます。もちろん、理不尽なクレームに対して組織的に対応できる体制作りも欠かせません。
アウトバウンドのコールセンターの業務
アウトバウンドのコールセンターでは、以下のような業務が実施されます。
- テレアポ(テレフォンアポイントメント)
- テレマ(テレマーケティング)
- インサイドセールス
- 電話調査
- 督促
それぞれの業務について、順番に解説します。
テレアポ(テレフォンアポイントメント)
テレアポとは、新規顧客に架電し、関係性を構築したうえで商談のアポイントメントを取る業務です。
テレアポは架電後に行う対面の商談の機会を作ることを重視する業務です。
新規顧客を開拓し、ニーズ喚起をしたうえで営業部門につなげれば、成約率の向上に貢献できます。なお、テレアポを実践するオペレーターは、商品・サービスに関する専門的な知識を持っているわけではありません。
テレアポで直接交渉を行うのは営業部門の従業員であるため、オペレーターはあくまで商談の機会を生むことに注力します。
テレマ(テレマーケティング)
テレマは、顧客へのアンケートなどによるマーケティング活動や、商品の販促などを実施する業務です。
テレアポと似ていますが、テレマは電話でのコミュニケーションを重視しているため、対面での交渉を行うことはほとんどありません。
マーケティング活動が電話で完結するケースがほとんどです。
また、 テレアポは新規顧客を対象にするケースが多いのに対し、テレマは既存顧客を対象にするケースが多い傾向があります。
そのため、テレアポと比べるとテレマの方が成功率が高く、売上向上につながる可能性が高い施策です。
インサイドセールス
インサイドセールスとは電話やメールなどのツールを使う内勤型の営業手法です。
テレマと同様に電話で完結する非対面式の営業手法ですが、中長期的に実施する点が異なります。
インサイドセールスは電話だけでなく、メールやチャットなど、さまざまなツールを活用して実施する点が特徴です。さまざまな角度でアプローチを繰り返すことにより、顧客との関係性を構築したうえで営業と連携して成約を目指します。
電話調査
アウトバウンドのコールセンターでは、市場や世論の電話調査を実施する場合があります。
企業によるマーケティングリサーチや、マスコミや自治体が実施する世論調査が代表例です。
電話調査の対象は年齢や性別に偏りがないように無作為に選ばれます。
一定以上のサンプル数が求められるため、大規模な電話調査が実施されるケースが多い傾向があります。督促
督促もアウトバウンドのコールセンターで行われる主要な業務です。
クレジットカードや各種料金の支払い・ローンの未払いなどを促すために実施されます。
顧客が対応を拒否したり、つながりにくかったりするなど、督促は手間がかかりやすい傾向があります。
架電すべき対象者が増加するほどオペレーターの負担が増えるため、顧客につながりやすいように工夫しなければなりません。また、対応を誤るとトラブルに発展するリスクが高いため、オペレーターの技量も重要です。
インバウンドのコールセンターの課題
インバウンドのコールセンターでは、多くの企業が以下のような課題を抱えています。
- 応答率の確保
- オペレーター対応の品質向上
- 適切なオペレーターの配置
インバウンドのコールセンターにおいて、いずれの課題も無視できないものです。
それぞれの概要を正確に把握しましょう。
応答率の確保
インバウンドのコールセンターにおいて、応答率は重要です。
応答率が低く何度架電してもオペレーターにつながらないコールセンターでは、顧客からの信頼は得られません。
応答率を改善できないと、企業に対するイメージの悪化や、顧客満足度の低下を招くリスクが高まります。
商品・サービスの注文や予約を受けるコールセンターであれば、応答率の低下は機会損失にもつながります。コールセンターの応答率はオペレーターの数によって左右されるものです。
架電数に対してオペレーターの数が少ないと、応答率は向上しません。
また、オペレーターが顧客対応や記録作業に時間をかけていると、新たな架電に対応できなくなります。
そのため、オペレーターの人員を増やすだけでなく、業務の効率化も目指す必要があります。
オペレーター対応の品質向上
オペレーター対応の品質向上は、インバウンドのコールセンターにおいて無視できない課題です。
インバウンドのコールセンターは顧客の架電に対応し、要望に応えたり、適切なフォローを実施したりする部署です。
顧客のニーズを把握し、スピーディーに対応するノウハウがなければ、業務が成り立ちません。
特に、商品やサービスへの問い合わせやクレームに対応するコールセンターであれば、対応品質はいっそう重要です。
対応を誤れば、深刻なトラブルに発展しかねません。
また、カスタマーサポートやヘルプデスクなら、オペレーターは商品やサービスに対する理解度の高さはもちろん、専門的な知識も求められます。
非対面でも最適なサポートができるように、優秀なオペレーターを育成することも、対応品質の向上を目指すうえで欠かせない取り組みです。適切なオペレーターの配置
インバウンドのコールセンターであれば、特定の時期に架電数が急速に増加することがあります。
応答率を維持するためにも、コールセンターはオペレーターを適切に配置しなければなりません。
オペレーターの配置を適正化すれば、顧客の架電数が増えるタイミングでもスムーズな応対が可能です。一方で、架電数が減少するタイミングでオペレーターを過度に増やすと、人件費などのコストが高騰するリスクがあります。
そのため、時期に応じて柔軟にオペレーターの配置を動かせる体制を構築しなければなりません。
インバウンドのコールセンターの課題解決方法
インバウンドのコールセンターの課題を解決する方法には、以下のようなものがあります。
- チャットボットやIVRを活用する
- 人員配置を最適化する
- マニュアルやトークスクリプトを整備する
- インバウンド向けのCTIを導入する
それぞれの解決方法について、以下で解説します。
チャットボットやIVRを活用する
チャットボットやIVR(自動音声応答システム)は、インバウンドのコールセンターに適したツールです。音声解析を搭載したチャットボットは、顧客側の操作だけで質疑応答が完了するため、コールセンターにかかる負担を減らすうえで役立ちます。
年中無休で稼働するうえに、人件費もかかりません。
また、IVRはオペレーターにつながるまで顧客を誘導してくれます。
担当者への振り分けも自動で行うため、スムーズな案内が可能です。
人員配置を最適化する
人員配置の最適化は、コールセンターのリソースを活用するうえで重要な取り組みです。
人員配置を最適化するには、入電数の把握が欠かせません。
昨今は入電数を予測できる分析ツールが登場しています。
昨今の分析ツールはAIを搭載しており、高度なアルゴリズムを活用できるため、精度の高い予測が可能です。マニュアルやトークスクリプトを整備する
応対品質の質を向上させるなら、マニュアルやトークスクリプトの整備を徹底しましょう。
マニュアルやトークスクリプトはオペレーターのスキルを均一化するうえで有用です。
シチュエーションに合わせ対応する手順を具体的に記載すれば、経験が少ないオペレーターでも対応に失敗するリスクを減らせます。マニュアルやトークスクリプトは運用の結果を参照しながら、定期的にアップデートしましょう。
インバウンド向けのCTIを導入する
インバウンド向けのCTIを導入すれば、業務効率化をスムーズに進められます。
昨今はさまざまなCTIが販売されていますが、なかでもおすすめの製品はOSORA(オソラ)です。
OSORAはインバウンドのコールセンターに適したCTIであり、ビジネスツールとの連携や着信時のポップアップ表示など、さまざまな機能を搭載しています。例えば、OSORAには通話録音機能があり、顧客とのやり取りを記録することにより、トラブルを防止する効果が期待できます。
モニタリング機能も搭載されているため、オペレーターの育成にも役立つ点もOSORAのメリットです。
なお、OSORAは低コストで導入できるため、予算をかけられないコールセンターでも手軽に導入できます。
アウトバウンドのコールセンターの課題
アウトバウンドのコールセンターには、以下のような課題がつきものです。
- 成果の維持が難しい
- 人手不足に陥りやすい
- 人材育成に時間がかかる
コールセンターの存続に関わる課題もあるため、管理者は意識しておきましょう。
成果の維持が難しい
アウトバウンドのコールセンターにおいて、成果の維持は重大な課題です。
しかし、業務の成果はリストの精度やオペレーターの技量などによって左右されるため、安定させることは簡単ではありません。
督促や世論調査の場合、顧客が対応を拒否することが多いため、思うように業務が進まないケースは珍しくありません。
また、 テレアポやインサイドセールスのような営業を行うコールセンターの場合、売上を確保するためにも、成約率を維持する必要があります。
業務の成果はコールセンターの運営や、オペレーターのモチベーションに影響を与える要素です。
安定的に成果を上げるには、営業手法やオペレーターの育成体制など、さまざま施策を行う必要があります。
人手不足に陥りやすい
以前よりコールセンターは人手不足に陥りやすい部門でした。
特にアウトバウンドは、顧客から理不尽な対応をされたり、結果を求められるプレッシャーがかかったりするため、オペレーターが定着しにくい傾向があります。
人手不足に陥ると、架電数の確保や見込み顧客への対応が困難になり、残ったオペレーターに負担がかかります。その結果、さらにオペレーターが離職するリスクが高まるでしょう。
人手不足は新規採用を繰り返すだけでなく、オペレーターを定着させる施策を実行しなければ根本的に解決しません。
働きやすい環境作りや、オペレーターのケアなど、コールセンターの職場環境を改善する取り組みが不可欠です。
人材育成に時間がかかる
アウトバウンドのコールセンターの売上を支えているのは、顧客にアプローチするオペレーターです。
しかし、オペレーターの育成は時間がかかるものです。
ビジネスマナー・商材の知識・臨機応変な対応力など、オペレーターが身につけるべきスキルは多種多様です。そのため、新人のオペレーターが安定的に稼働できるまで、一定の時間を要します。
コールセンターにおいて、スムーズにオペレーターを育成できる体制は不可欠です。
特定の個人に依存するのではなく、オペレーター全員が均一的に成果を上げられる状態なら、離職者が出たことによる成約率への影響を抑制できます。
アウトバウンドのコールセンターの課題解決方法
アウトバウンドのコールセンターにありがちな課題は、以下の解決方法が有効です。
- 商品やサービスへの理解を深める
- トークスクリプトを整備する
- 充実した研修を行う
- テレアポリストを作成する
- アウトバウンドに適したCTIを導入する
アウトバウンドのコールセンターの課題を解決するには、インバウンドと異なるアプローチをしなければなりません。
商品やサービスへの理解を深める
商品やサービスへの理解を深めることは、成約率や顧客満足度を向上させる第一歩です。
商品やサービスの理解を深めれば、自社の強みを把握しやすくなり、顧客にアピールすべきポイントが見えてきます。さらに顧客からの質問にも対応しやすくなるため、顧客との信頼関係を構築するうえでも有効です。
トークスクリプトを整備する
アウトバウンドのコールセンターにおいても、トークスクリプトの整備は重要な施策です。
冒頭のアプローチ・ニーズ喚起に有効なトーク・想定問答・クロージングの流れなどをトークスクリプトに記載しておけば、経験が浅いオペレーターでも成果を上げやすくなります。
実績があるオペレーターのテクニックも折り込めば、より効果が期待できます。
トークスクリプトを整備する際は、商品やサービスの変化や、過去にあった案件を参照し、定期的に内容を更新しましょう。ディティールをブラッシュアップすれば、トークスクリプトの効果をさらに向上させられます。
充実した研修を行う
より優れたオペレーターが必要なら、充実した研修を実施しましょう
商品やサービス・営業スキルを学ぶ座学・実践を想定したロールプレイングなど、さまざまな育成方法を行えば、オペレーターの成長につながります。
さらに、営業中にモニタリングやウィスパリングを行い、オペレーターをサポートすれば、新人でも成果を上げる可能性が高まります。
充実した研修はオペレーターのスキルアップだけでなく、モチベーションを向上させるきっかけにもなる取り組みです。スキルアップできる機会を設ければ、オペレーターが定着しやすくなります。
テレアポリストを作成する
テレアポやテレマは、ただ無作為に顧客へアプローチしても成果につながりません。
ターゲットを絞り込んだテレアポリストを作成することで、効率的な架電が可能です。
傾向・ニーズ・業界などの情報ごとに顧客を分類しリスト化すれば、実践すべきアプローチやトークの組み立て方が明確になります。精度が高いテレアポリストの作成は、無駄な架電を減らし、オペレーターの負担を軽減させるうえでも有効です。
アウトバウンドに適したCTIを導入する
アウトバウンドに適したCTIの導入も、成約率の向上につながります。
なかでも、List Navigator.はアウトバウンドの
コールセンターに適したCTIであり、多くの企業で導入されています。
効率的な架電を実現し、精密な分析をするうえで大いに役立ちます。
また、List Navigator.はクラウド型のCTIであるため、インターネットに接続できれば、どこからでもアクセスできます。
リモートワークにも対応できるなど、使い勝手の良さも魅力です。
インバウンド・アウトバウンドのコールセンター業務を効率化しよう
インバウンドとアウトバウンドはそれぞれ業務内容が明確に違います。
業務が異なれば、もちろん解決すべき課題や解決方法も異なるため、それぞれの業態に応じた適切な対応が必要です。
インバウンド・アウトバウンドの課題を解決するなら、業態に合ったCTIの導入も効果的です。
業態に合わせてCTIを導入するなら、インバウンドにはOSORA、アウトバウンドにはList Navigator.が適しています。いずれも多彩な機能を搭載しており、オペレーターの育成から業務の効率化まで、さまざまな場面で役立ちます。
ぜひ導入を検討してください。
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