2024.08.01
INS(ISDN)回線は2024年に終了!いつまでに何をすべき?
NTTが長年提供してきたISDN回線サービス「INSネットディジタル通信モード」は2024年1月にサービス提供の終了が予定されています。
つまり、ISDN回線を使用した電話やFAXの利用ができなくなるということです。
INS(ISDN)回線のサービス提供が終了したら、私たちはどうすればよいのでしょうか。
そもそもどのような利用シーンがあったのかも含め、個人・企業別にサービス終了後の対応を詳しく解説します。
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目次
INS・ISDN回線とは
そもそもISDN回線は、
音声を0と1のデータに変換したデジタル信号を通信に利用するデジタル回線 のことを言います。
INS回線と呼ばれることもありますが、「INSネットディジタル通信モード」というNTTが提供してきたサービス名称です。
同じような意味で使われる言葉ですが、厳密にはこのような違いがあります。
主な利用用途や利用例
音声データがそのまま銅線を流れているアナログ回線に比べ、 音声が良く盗聴しにくい という特徴があります。
また、1つの電話番号で複数の通話を処理できるため、大人数が電話をする際の利用に向いています。
デジタル回線であるISDN回線は、インターネット接続も可能です。
1つの電話番号で2回線を利用できるため、電話・FAXとインターネットの同時接続ができます。
このような特徴から、1回線1通話しかできないアナログ通話に代わって、 ビジネスフォンとしての普及が広まりました。
多くの企業のオフィス電話・ビジネスフォンとして利用されてきた経緯があります。
その他にも具体的には以下のような用途で利用されています。
- 企業の本部と店舗間のPOS端末通信
- 自宅から警備会社への監視映像通信
- ラジオ放送における番組中継や音声配信
- 銀行と企業間のEB(振込・口座照会)
- コンビニのマルチコピー複合機によるG4FAX
INS・ISDN回線廃止の背景
近年、インターネット通信はより高速化され、ひかり回線が主流となっています。
ISDN回線はインターネット接続ができるものの、ひかり回線に比べてそのスピードは遅く、今やデメリットの1つです。
そのため2001年をピークにその契約数は激減の一途をたどっています。
ビジネスにおいてはまだまだ多くのシーンで利用されているISDN回線ですが、 利用数の少なさに加え、設備の老朽化や保守の難しさ などの理由もあり、廃止が決定しました。
またIPを中心とした通信が一般化したこともあり、通信速度が遅く高価なアナログ回線よりも、 より高速で安価なひかり回線がインターネット通信のメイン となっています。
INS(ISDN)回線の終了までのスケジュール
INS(ISDN)回線サービスの終了までのスケジュールは以下の通りです。
2017年10月 固定電話網のIP網切り替えが発表
2021年1月 他事業社との接続をIP網への接続に切替開始
2022年1月 切替後の電話料金の確定・契約引継ぎの案内開始
2024年1月 固定電話網をIP網へ切替開始
→「ディジタル通信モード」および「一部のサービス」の提供終了
すでにIP網への接続切替作業は開始しており、2024年1月には固定電話網がIP網へ接続開始されることに伴って、 「ディジタル通信モード」やその他一部のサービスは提供が終了 となります。
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INS(ISDN)回線の終了後はどうなる?
INS(ISDN)回線の提供終了後はどうなるのでしょうか。
また、わたしたちはこれに備えて何をすべきなのでしょうか。
INS(ISDN)回線が終了してしまった後について考えましょう。
固定電話はそのまま使用できる
2024年1月にINS(ISDN)回線が終了してしまっても、音声通話はこれまで通り利用できます。
既存の電話はそのままIP網へと移行されるので、 利用者としての対応は特に不要 です。
電話機の交換や何かしらの契約変更といった対応は必要ありません。
音声通話のみ固定回線を利用している一般家庭などにおいては、あまり関係のない技術的な変化であると言えるでしょう。
心配せずとも、何も対応する必要はありません。
データ送信で利用しているなら要対処
ビジネスにおいては、前述した通り、様々な電子データ送信にINS(ISDN)回線が利用されているケースが多々あります。
電子データ送信にINS(ISDN)回線を使用している場合、2024年1月を最後に、今まで通りの利用ができなくなってしまいます。
新規で契約することはおろか、 INS(ISDN)回線に代わるサービスの以降を早々に手配するべきです。
2024年に終了する「一部のサービス」
2024年には INSネット(ディジタル通信モード)のサービス終了とともに、一部のサービスも終了する 予定になっています。
すべての関連サービスが終了するわけではないものの、利用している企業にとっては死活問題にもなるかもしれません。
あらかじめ終了サービスについては理解しておき、必要な対応を検討するべきです。
2024年に終了するサービスは以下の通りです。
- INSネット(ディジタル通信モード)
- ビル電話
- 着信用電話
- 支店代行電話
- 有線放送電話接続電話
- 短縮ダイヤル
- キャッチホン・ディスプレイ
- ナンバー・アナウンス
- でんわばん
- トーキー案内
- 発着信専用
- ノーリンギング通信
- 二重番号
- トリオホン
- なりわけ
- 114(話中調べ)
- 空いたらお知らせ159
- ナンバーお知らせ136
個人におけるINS(ISDN)回線の終了後の対応
個人宅においては、基本的に固定電話のみでINS(ISDN)回線を利用していることが多いため、前述の通り 特に何もしなくても、これまで通り電話を利用できます。
むしろIP網に移行されることで、電話料金が今より安くなることも考えられます。
しかしながら、近年ではスマートフォンも普及しており、固定電話の使用頻度が減ったという方も多いのではないでしょうか。
これを機に、固定電話ごと解約してしまうことも1つの手かもしれません。
固定電話があるが故の、詐欺電話やセールス電話のリスクも減らせます。
個人事業主や株式会社を持っているなどといった理由から、市外局番から始まる固定電話番号を所有しておきたい、という方もいるでしょう。
その場合、電話アプリを使えばスマートフォンで固定電話番号の取得が可能です。
INS(ISDN)回線のサービス終了を機に今一度固定電話の必要性や電話料金を見直してみるのもよいかもしれません。
法人におけるINS(ISDN)回線の終了後の対応
INS(ISDN)回線の終了後の法人おける対応としては、どのようにINS(ISDN)回線を利用しているかによって異なります。
電話のみの利用であれば、あまり大きな影響はないかもしれませんが、データ伝送回線として使用している場合には、サービス維持や業務効率に関わる大きな問題になり得ます。
それぞれについて、企業が取るべき対応策を解説します。
何もしない
個人宅同様、電話回線のみを利用している場合は、 何もしなくてもIP網に移行され、INS(ISDN)回線の終了後も通常通り、電話を利用できます。
もちろん機器の交換や工事、設定といった手配も必要ありません。
しかしながら近年では、固定のオフィスを持たない企業も増えており、電話の利用方法も企業によってさまざまです。
自社の事情に合わせて、固定電話自体を解約したり、後述するクラウド電話に乗り換えたりすることを検討してもよいかもしれません。
すべてとは言わずとも、一部の固定電話を廃止することでも、コスト削減を目指せます。
クラウド電話に乗り換える
クラウド電話とは、電話交換機であるPBXをクラウド化し、インターネットを通じてアクセスすることで電話を利用する方法です。
従来、設備として設置されていたPBXが不要な分、 コストを抑えることができ、スマホを内製化する といったことにも対応できるようになります。
近年は、働き方改革の影響もあり、必ずしも従業員がオフィスで仕事をしなくてもよいといった働き方が広まっています。
しかし、このフレキシブルな働き方に電話業務が追いついておらず、不便を抱えている企業も少なくありません。
クラウドPBXを導入することで、通話料が抑えられることはもちろん、社外やスマホでも会社の代表電話番号が使えるといったメリットがあります。
INS(ISDN)回線の終了を機に電話業務を見直してみると、これまでよりも利便性や生産性が上がったり、費用を削減できたりするかもしれません。
EDIにメタルIP電話のデータ通信を利用する
INS(ISDN)回線は、ビジネスにおいては電子データ交換にも利用されており、具体的には以下のような利用用途があります。
- 小売店で使用されているPOSシステム
- 銀行ATM
- 社内の複合機のFAX機能
- 監視カメラの映像伝送
- ラジオ放送
NTTは、INS(ISDN)回線の終了に伴い、EDIのための代替サービスとして「メタルIP電話のデータ通信」を2027年まで提供することとしています。
メタルIP電話のデータ通信の通信品質は、そこまで快適なものではないと言われており、IP網へ移行後、 何もしなくても既存のメタル回線を継続して利用できます が、これまでの通信品質よりは落ちてしまうかもしれません。
あくまで経過措置かつ応急処置的な対応であると言えるため、できる限り早く別の方法へ移行することがおすすめです。
2024年1月までに移行が間に合わなくても、いきなりEDIが利用できなくなるというわけではない、といった程度に理解しておくことがよいでしょう。
インターネットEDIに移行する
データ送信にインターネット回線を使う「インターネットEDI」の利用がよりおすすめです。
インターネット回線を利用している分、 これまでのINS(ISDN)回線よりもさらに通信速度が速い というメリットも。
伝送部分にだけインターネット回線を利用する方法と、業界ごとに定められた「インターネットEDI標準」を利用したシステムに移行する方法があります。
部分的な移行であれば、開発や費用が抑えられるメリットがあり、システム移行の場合であれば、より高速でセキュリティ性の高い安定的な利用が期待できます。
開発や移行にかかる費用や時間はかかるものの、業務品質やサービスの維持には欠かせないEDIは安定的に利用したいところ。
十分に検討し、自社に合った利用方法を考える必要があるでしょう。
INS(ISDN)回線の利用状況に合わせ終了に備えた対処を行いましょう
長年人々の暮らしやビジネスシーンをサポートしてきたINS(ISDN)回線でしたが、2024年にはサービスが終了してしまいます。
電話利用だけであれば特段の問題はないものの、これを機に電話の利用頻度や必要性に合わせて、使い方を見直すこともよいかもしれません。
また、ビジネスで言えば、データ伝送に大きな影響があります。
EDIのシステム移行には費用と時間がかかるため、2024年まで時間があるといえど、 早期の対応と準備が必要 と言えるでしょう。
個人・企業によって考えるべき対応が異なることはもちろん、ビジネスにおいてもどのようにINS(ISDN)回線を使用しているかによって検討内容が異なります。
INS(ISDN)回線の利用状況や現在の業務内容との関係性をしっかり理解し、十分な準備をしておくことをおすすめします。
■合わせてよく読まれている資料
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