2024.08.09
電話営業は違法?電話をかける際の注意点を解説
電話営業は、特定商取引法の適用範囲に入ります。そのため、法に反したやり方で営業を行えば、違法とみなされます。
法律違反にならないようにするためには、その法律の内容を把握し、法に準じた営業をしなくてはいけません。
万が一法律違反をしてしまった場合は業務改善命令が下るか、ひどい場合は業務禁止命令が下される可能性があります。そうならないためにも、本記事で解説する特定商取引法について、正しく理解して業務に臨むようにしてください。
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目次
電話営業は違法?
電話営業は特定商取引法が適用されます。そのため、法律に準じた方法で営業を実施しなければなりません。特定商取引法では、電話営業のことを「電話勧誘販売」と記しており、事業者が顧客に電話をかけて商品を売り込み、電話・メール・FAXなどの通信手段で購入を申し込む販売手法であると定めています。
電話営業は手軽に始められる営業方法であり、多くの消費者にとっても手軽に良い商品を紹介してもらえる機会として認識されていることでしょう。しかし、企業によっては不当な条件や少ない説明で無理やり購入まで押し進めるケースもあり、消費者に被害が及んでしまうことがあります。そういった事態を防ぐために特定商取引法が整備されており、それに違反した営業方法は、排除される仕組みとなっているのです。
営業電話をかける際の注意点
消費者のためになる有益な商品を提供していても、特定商取引法に反する方法で営業をしてしまっては本末転倒です。正しい方法で営業を実施していくために、以下で解説する注意点を確認しておきましょう。
【営業電話をかける際の注意点】
- 事業者名を名乗る
- 断られた相手へ再度電話しない
- 事実と異なる説明をしない
- 契約後は書面を交付する
- 電話をかける時間帯に注意する
状況や度合いによっては違法となる可能性がありますので、これらの注意点は必ず守るようにしましょう。
事業者名を名乗る
特定商取引法では、事業者が営業電話をする際、まず初めに事業者の氏名や目的を明らかにするようにと定めています(法第16条)。具体的には、以下の項目を明らかにすることが義務付けられています。
- 事業者の氏名または名称
- 勧誘者の氏名(実際に電話をかけているオペレーターの氏名)
- 商品・権利・役務の種類
- 勧誘目的の電話であること
もし、これらの項目を最初に伝えず、まるで勧誘ではないかのような振る舞いで消費者とコミュニケーションを図った場合は、違反とみなされる場合があります。もし違反とみなされた場合は、改善指示や業務停止命令の対象となりますので、注意しましょう。
断られた相手へ再度電話をかけない
電話営業をした相手が売買契約を断った場合、事業者はその契約をさらに勧誘し続けたり、後日改めて電話をかけたりすることは禁止されています(法第17条)。売買契約を断られた場合は早めに会話を切り上げ、電話を切るようにしましょう、切らずにしつこく勧誘を続けたら、違法になってしまう可能性があります。
事実と異なる説明をしない
電話営業の際、事実と異なる説明をして売買取引を進めた場合は、違反行為になります。簡単に言えば、詐欺まがいの営業方法をしてはいけないということです。特定商取引法では事実説明において、具体的に以下の内容を 禁止としています。
- 不実のことを告げる行為
- 故意に事実を告げない行為
仮に、消費者が事実と異なる説明を受けたことで、事実を誤認して契約してしまった場合、消費者は契約の取り消し請求をすることができます。事実と異なることを告げないのは当たり前のことですが、営業ノルマに迫られたり、上司からのプレッシャーで何としても契約を取らなくてはと考えたりすると、正常な判断ができなくなり、事実とは異なることを話して契約を結ぼうとしてしまうかもしれません。そういった事態を防ぐために、企業は研修やロープレを通じて、オペレーターにしっかりとコンプライアンスを認知させる必要があります。
契約後は書面を交付する
正当な営業活動を経て契約を取りつけることができたら、必ず法律や省令で指定された事項が記載された書面を交付しましょう。これは特定商取引法第18条で義務付けられている内容です。書面を交付することで、正式な契約情報を消費者が確認することができ、締結後に万が一企業が不当な対応をしてきたとしても、書面があれば企業と消費者が対等にやり取りできるようになります。消費者を守る意味でも、書面は必ず交付するようにしましょう。
【交付する書面に記載する事項】
- 商品代金の支払時期と方法
- 商品の引渡時期
- クーリング・オフの行使について
- 事業者の連絡先及び代表者の氏名
- 担当者の氏名
- 契約の申し込みをした年月日または契約締結の年月日
- 商品の名称や型式
- 商品の数量
- 瑕疵担保責任及び契約解除に関する事項
- 特約を定めた場合はその事項
以上の項目を記載する際は、8ポイント以上の大きさの文字を使って記載することが決められています。
電話をかける時間帯に注意する
特定商取引法では営業電話における迷惑行為を以下のように定義しています。
電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をし、又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除について迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げること。(法第23条)
つまり、消費者が迷惑と感じるような時間帯に営業電話をかけるのは、不適当であるとしているのです。
具体的な時間を指定していない理由としては、迷惑に感じる時間が人・事業者によって違うという点が挙げられます。ただ、「特定商取引に関する法律等の施行について」という通達の中では、参考例として午後9時から午前8時としています。とはいえ、夜に営業しているお店などをターゲットにしている場合はこれに該当しないため、電話をかける時間はターゲットに合わせて適切な時間を決めることが重要です。
電話営業をする時間帯に関しては、「テレアポが効果的な時間帯|法人・個人別、マナー違反の時間帯も解説」でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
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電話営業で違法行為を行ってしまった場合
電話営業で違法行為をしてしまった場合、行政規制を受ける可能性があります。行政規制は以下の3つがあります。
違反行為が意図しないものであったり、不可抗力であったりする場合を除き、悪質で深刻なケースは罰金や懲役などの刑事罰を受ける可能性があります。法に則した正しい方法で、電話営業をするようにしましょう。
業務改善指示を受ける
業務改善指示(または業務改善措置)は消費者を保護するうえで、企業側に問題があると判断された場合に下される行政処分です。
一般的には、業務改善指示を下された企業がその指示内容に従い、その後同じミスを犯さないように徹底していくものです。しかし、自主的な改善が見られなかったり、悪質な態度を示したりする場合は、より重い措置となる業務停止命令や業務禁止命令が下される可能性もあります。
業務停止命令を受ける
業務停止命令を受けると、すべての業務を一時的に停止しなくてはいけなくなります。業務停止命令は、法人に対して出されるのが一般的で、個人に向けた業務禁止命令と一緒に下されることが多いです。具体的には、企業自体に業務停止命令を出し、企業の代表取締役が業務禁止命令を受けるような形になります。
業務停止命令を下された企業は、今後の改善案を作成して再発防止策とコンプライアンス体制を構築するように指示されます。そして、それらを県知事などの行政機関に提出することで、業務を再開することができるようになります。
業務禁止命令を受ける
業務禁止命令は、違反した内容があまりに深刻で悪質と判断された場合に下される行政処分です。業務禁止命令を受けると、会社の役員や業務を統括する人が従業員に指示を出したり、業務を再開させたりすることを禁じられます。基本的に、多くの被害者が発生するような悪質すぎる企業ではない限り、業務禁止命令は代表取締役などの個人に対して下されます。
業務禁止命令を受けた場合は、その後の営業行為等を完全に禁止されるので、同じ環境下で再起することは難しいとされています。
まとめ
電話営業は、特定商取引法が適用されます。そのため、正しいやり方で業務を遂行しないと、違反とみなされる可能性があります。基本的には消費者が不利になるような提案や、詐欺まがいのやり方で勧誘したりしなければ、法に触れることはありません。ですが、オペレーターがノルマに追われて適切な判断ができない状況になってしまうと、ふとしたことで法に触れてしまうこともあるかもしれません。そうならないために、企業はコンプライアンスを重視した研修を実施するなどして、オペレーター教育を欠かさないようにしていきましょう。
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