2024.09.15
コールセンターの業務改善のポイントと手順、成功事例を紹介
コールセンターでは、応答率や対応時間などの数値で出せるデータが多く集まります。業務改善の一環で、定量的な分析を行うために、そういった数値は必要不可欠です。コールセンターは成約率を上げるために、あらゆる改善を繰り返して対応の品質を高めていくものだという意識が重要です。
当記事では、成約率を上げるために行う業務改善のポイントと手順についてご紹介します。コールセンターの成果が伸び悩んでいる方や、もっと成果を上げたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
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目次
コールセンターにおける業務改善のポイント
コールセンターで業務改善を実施する場合は、以下のポイントを意識することで、効率良く進めていくことができます。
- 応答率
- 対応品質
- オペレーターの対応時間
- 離職率
応答率を上げるためにオペレーターの対応件数を分析したり、顧客満足度を調べて対応品質を分析したりすることで、オペレーターの能力が向上していくのです。
応答率
応答率とは「電話のつながりやすさ」を表す指標で、入電した件数のうち、実際にオペレーターが何件対応出来たのかを計測することで算出できます。応答率が高い場合は、総コール数に対して対応できた件数が多いことを示し、低い場合は総コール数に対して対応できた件数が少ないことを示します。つまり、応答率が高いほど、顧客応対のチャンスを掴んでいることを意味します。
応答率の理想値は、緊急性の高い案件(盗難・事故など)を扱う場合は97%以上、それ以外の場合は90%以上が好ましいといわれています。これらの数値を達成するために、人員を補充したり、サービスレベルを向上させて、対応件数を増やしていきましょう。
以下では、応答率に関する詳しい情報を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:コールセンターの応答率とは?平均や計算方法、向上のポイントを紹介
対応品質
対応品質は、顧客満足度に最も影響を与える重要な業務改善ポイントです。 対応品質が悪ければクレームが増えて余計な業務が増えますし、成約率も落ちるという悪循環を生み出します。
そのため、コールセンターの利益を上げていきたいのであれば、一番に対応品質の向上を検討しなければいけません。
とはいえ、コールセンターにおいてオペレーターの品質を維持することは容易なことではありません。なるべく品質を安定させる方法をシステム化し、オペレーターの質を底上げすることが求められます。
オペレーターの対応時間
オペレーターの対応時間とは、顧客1件の対応に対して、どのくらいの時間を使ったかを示す時間のことを指します。主に平均処理時間(AHT)を算出するために利用され、「対応時間の平均+後処理時間の平均」で計算されます。
コールセンターでは、平均処理時間を減らして業務効率化を進めるところが多く、対応時間と後処理時間のどちらに時間がかかっているのかを分析して業務改善を行います。対応時間に時間がかかっている場合は、「質問にスムーズな回答ができているか?」「商材説明が簡潔にできているか?」に注目しながら改善点を見つけます。後処理時間に時間がかかっている場合は、システムの導入によって業務の効率化を図るなどします。
「コールセンターにおけるAHTとは?短縮させるポイントや重要性を解説」で、AHTについて詳しく記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
離職率
コールセンターの離職率は、他業種と比べて比較的高いといわれています。『CALL CENTER JAPAN』の調べでも、その数値は明確に出ており、約65%のコールセンターで新人の離職率が30%以上あると答えています。(一般的な離職率は約14%といわれている)
離職率が高いと、その分だけ新しい人材を再度確保する必要が出てきます。そうすると、オペレーターとしてのスキルが未熟な人材ばかりが増えて、コールセンター全体の品質がなかなか向上しないという悪循環が発生します。
少しでも離職率を低くするために、ストレスフルな環境を作るように教育環境を改善したり、オペレーター個々人の能力に合わせてノルマ設定するようなシステムを作ることが求められます。コールセンターを業務改善する手順
コールセンターで業務改善をする際、闇雲に進めては改善できるものもできなくなってしまいます。改善作業は以下のように手順を決めて進めていくことで、安定した改善効果が見込めます。
【業務改善の手順】
- 課題の洗い出し
- 改善目標の設定
- 運用体制の見直し
- 結果から新たな目標を設定
改善目標は一度達成したら終わりにするのではなく、何度も改善作業を繰り返して、質の高いコールセンターを実現できるように心がけていきましょう。
課題を洗い出す
課題の洗い出しは、改善作業の方向性を明確にするだけでなく、改善作業に携わる全ての人の作業を進めやすくする目的も兼ねています。課題を洗い出す時は複数人(できれば立場の違う人も含めて)で出し合うことで、さまざまな課題を見つけることが可能です。
課題を洗い出したら、原因の追求まで行いましょう。「後処理時間が長い」という課題が出たとして、「なぜ後処理時間が長くなるのか?」という疑問を投げかけることで、想定される原因を見つけ出すことができます。原因まで洗い出すことができれば、課題を改善するための行動案が明確化されます。
改善目標を設定する
課題の洗い出しと原因の深掘りが完了したら、それらを改善するための目標を設定します。
目標を設定する際は、なるべく定量的な目標設定をするように心がけましょう。具体的には以下のような指標を活用すると、改善作業に携わる人が明確な方向性を持って行動しやすくなります。【目標に活用すべき指標】
- 平均通話時間(ATT)
- 平均後処理時間(ACW)
- 平均処理時間(AHT)
- 1コールあたりの費用(CPC)
- 1時間あたりのコール数(CPH)
関連記事:コールセンターのACW効率化で期待できる効果|注意点や成功事例も紹介
運用体制を見直す
設定した目標に対して、現在の運用体制が適切かどうか見直しましょう。見直す運用体制は、主に以下のようなものがあります。
【運用体制の見直し例】
- 研修内容
- トークスクリプトの内容
- 運営マニュアルの内容
- オペレーターの適正人数
- 導入済みシステムの内容
- 利用しているツールの種類
- 各社員(オペレーター・リーダー・SV)の業務負担状況
どんな目標設定かによって見直す部分は変わってきますが、最終的には上記で挙げた全ての運用体制を少しずつ改善することで、コールセンター全体の業務改善を進めていくことになります。
研修内容を見直せば必然的にトークスクリプトの内容も変わってきますし、社員の業務負担状況を見直せば適正人数を変更することにもなってくるでしょう。PDCAを回す
改善作業を行ううえで、PDCAを回すことは必要不可欠です。
PDCAは、何度も改善作業を行うことで細かな課題を解決できるだけでなく、時代のニーズやトレンドに合わせた業務改善を実施できる特徴があります。そのため、PDCAは多くの企業から半永久的に運用され続けるべき改善運用方法として取り入れられています。
PDCAについてさらに深く知りたい方は、「PDCAとは?プロセスやうまくいかない原因と対策、事例を分かりやすく解説」で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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コールセンターの業務改善に成功した事例
業務改善を行う際に、これまで解説してきた内容を実施すれば問題なく改善業務は進みますが、具体的なイメージを持っていれば改善の質はさらに向上するでしょう。以下で紹介する業務改善の成功例を参考に、これから取り組む業務改善の具体的なイメージを持っていきましょう。
- 【証券会社A】
- 証券会社Aのコールセンターは、応答率の低さに課題を感じていました。そこで、証券会社Aは業務改善の一環として、顧客の待ち時間を数種類に分けたうえで、それぞれにKPIを設定。目標の達成度を示すKPIを設定することで、待ち時間の短縮を目指すうえでの問題点が浮き彫りになりました。そこで、これらを改善するためのPDCAを行うことで、業務の改善を進めることができるようになったのです。
まとめ
コールセンターは扱う商品が多いだけでなく、世間のトレンドに合わせて柔軟な対応をしていくことが求められます。業務改善はそうした柔軟な対応を可能にする手段のひとつで、PDCAとして循環させ続ければ、常に質の高いコールセンターを維持することができるでしょう。離職率が高いといわれるコールセンターだからこそ、業務改善をシステム化して循環させれば、オペレーターの質を損なわずに教育し続けることが可能となります。
業務改善を効率的に進めるには、課題を素早く見つけることと、改善作業をスピーディーに着手することが重要です。そこで、Scene Liveが提供する「OSORA」というインバウンド向けサービスを活用してみてください。OSORAでは、通話分析機能や統計レポート機能があり、集めたデータから課題を明確にすることができます。しかも、課題があるオペレーターについては、リアルモニタリング機能で実際の対応業務をチェックすることができるので、スピーディーな改善作業を実現します。
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